夜間利用に「地元枠」 三太郎線、繁忙期に新ルール 同時2台も、今秋に実証実験 奄美市住用町

2022年08月10日

世界自然遺産

三太郎線の新ルールについて意見交換した夜間利用適正化連絡会議=9日、奄美市住用町

夜間に野生生物を観察するナイトツアーの増加に伴い、車両規制が導入された奄美市住用町の市道三太郎線周辺に関する夜間利用適正化連絡会議の会合が9日、同町の住用公民館であった。地域住民や観光ガイドの要望を受けて、特に利用が集中する繁忙期には、予約サイトに住民専用の「地元枠」を設けたり、多人数の利用に対応するため、同じ時間帯に1グループが2台一緒に通行できるようにする新たなルール案が示された。今年秋のシルバーウイーク(SW)に実証実験を行い、来年のゴールデンウイーク(GW)をめどに新ルールの導入を目指す。

 

三太郎線周辺はアマミノクロウサギなど希少な生き物が多いナイトツアーの人気スポット。車両規制は、世界自然遺産登録に伴う来訪者の増加を見据えて、希少動物の交通事故や車の追い越しをめぐるトラブルの増加を防止するため、昨年10月に試行的に導入された。会合にはオンラインも含め官民の関係者約50人が参加した。

 

現行のルールでは、三太郎線の利用はウェブサイトなどからの予約が必要で、通行台数は東西の入り口から30分ごとに1台に制限。規制に法的な強制力はなく、利用者に協力を求める自主ルールとなっている。

 

事務局の環境省の報告によると、今年のGW(4月29日~5月8日の10日間)の予約は201件。そのうちガイドが153件と約76%を占め、地域住民が21件で約10%、レンタカーが17件で約8%だった。早い段階で予約するガイドに対して、希望する日時に予約できない住民も多かったとみられる。

 

地域住民から「予約がガイドでほぼ埋まり、帰省する子や孫を連れていけない」などの意見が寄せられ、「『地元枠』を設けてほしい」という要望もあった。親戚や友人グループなど、同じ時間帯に複数の車両での通行を求める要望もあったという。

 

同省が提案した新ルールでは、GWやお盆、SW、年末年始などの繁忙期は▽予約サイトに住用町住民限定の「地元枠」(午後7時台に1日1組)を設ける▽同時間帯に1グループ(ガイドは1事業者)で車両2台まで通行可能│とした。

 

今年のSWに当たる9月17~25日に実証実験を行い、実験結果を踏まえて、来年1~2月ごろに連絡会議を開いて新ルールの導入について協議する。

 

同省奄美群島国立公園管理事務所の田口知宏国立公園管理官は「すべての人がしっかりルールを守ることで、自然が守られながら、満足度の高い利用をしていくことが最終的な目標」と述べた。