奄美・沖縄 今年2月に再推薦へ 世界自然遺産 20年登録目指す
2019年01月01日
世界自然遺産
政府は今年2月、世界自然遺産候補の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」について、国連教育科学文化機関(ユネスコ)へ推薦書を再提出する。夏にもユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)による現地調査が奄美・沖縄の4地域で再び行われ、2020年夏の登録実現を目指す。
奄美・沖縄は03年5月、白神山地と屋久島に続く世界自然遺産の国内候補として知床、小笠原諸島とともに選ばれた。政府は13年1月、登録推薦の前提となるユネスコの暫定リストへの追加を決定。17年2月に推薦書を提出し、同年10月にIUCNの現地調査が行われた。
IUCNは18年5月、沖縄島北部の米軍北部訓練場返還地の編入など、推薦区域の見直しを求めて奄美・沖縄に「登録延期」を勧告。政府は6月に推薦を取り下げた後、11月に再推薦を決めた。
今年2月の再推薦に向けて、環境省は推薦書の見直し作業を進めた。IUCNの指摘を踏まえて、遺産の価値を示す評価基準(クライテリア)は「生態系」を見送り、「生物多様性」に絞った。
推薦区域については、北部訓練場返還地の編入や緩衝地帯からの格上げ、小規模区域の除外などによって、4島で24区域に分断されていた候補地を、奄美大島、沖縄島北部、西表島で各1区域、徳之島で2区域の計5区域に再編した。
18年12月、専門家で構成する科学委員会で推薦書の修正案がおおむね認められた。関係行政機関による地域連絡会議では、候補地の環境保全や観光管理の強化を図った包括的管理計画の改定案を了承。推薦書とともにユネスコ世界遺産センターへ提出する。
IUCNは勧告で、外来種対策や増加する観光客への対応の強化を求めた。再推薦に向けて、環境省奄美自然保護官事務所の千葉康人上席自然保護官は「奄美の自然は『世界遺産の価値がある』と評価された。将来にわたって守っていく覚悟が私たち一人一人に問われている。外来種対策や違法採集防止の取り組みの強化が必要。観光客の増加に伴う過剰な利用を制限するルール作りも急務だ。地域全体で奄美の自然を守る体制を整えたい」と述べた。