資源保全管理状況を共有 関係省庁と奄美・沖縄の行政機関 世界自然遺産地域連絡会議
2024年02月22日
世界自然遺産
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」世界自然遺産地域連絡会議が21日、沖縄県の那覇市牧志駅前ほしぞら公民館で開かれた。オンライン併用で環境省や林野庁と鹿児島、沖縄両県、市町村の担当者ら約90人が出席。関係行政で策定したモニタリング計画に基づく遺産地域の保全管理状況に関して、2022年度の評価結果などを共有。両県や地元自治体、民間組織の取り組み報告もあり、意識を高め合った。
同会議は主に行政機関で構成。奄美・沖縄における自然環境の適正な保全管理について、学術経験者らによる科学委員会の助言を受けながら関係者間の連絡調整と合意形成を図る。21日は、10年間(20~29年度)のモニタリング計画を基に、22年度単年の評価結果を共有した。
モニタリング計画は18年、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)が当時候補地の奄美・沖縄に「登録延期」を勧告した際、指摘した課題の一つ。19年に策定し、希少種の生息状況や脅威、観光利用など5項目で各地域、継続的に評価している。
22年度の評価結果について、事務局は「遺産価値に一定の悪影響やその恐れがあり、改善の余地がある」現状を報告。奄美大島、徳之島はいずれもロードキルと飼い猫管理の評価が低く、加えて徳之島は外来種による(在来種)捕殺やネコの生息状況も課題とした。
鹿児島県は奄美大島、徳之島各部会の報告事項を伝達。徳之島で24年完成予定の徳之島世界遺産センター、大和村で25年度完成予定のアマミノクロウサギ研究飼育施設(いずれも仮称)など大きな動きのほか、自然保護・環境保全上の課題と対応状況を報告した。
奄美群島からは奄美市と大和村、徳之島3町が活動状況を報告。奄美市は世界遺産登録エリアの適正利用や資源保護に関わる財源創出へ向けた検討・試行状況、大和村はロードキル防止策の実証実験、徳之島3町は世界自然遺産推進協議会の活動とエコツアーガイド人材育成について伝えた。
このほか沖縄県側から県と西表島を有する竹富町、世界自然遺産推進共同企業体の各種報告もあった。