外来種オオフサモ駆除進む 仲里川(瀬戸内町)で地点根絶 環境省

2022年08月05日

オオフサモ(円内)が繁茂していた仲里川=2021年3月、瀬戸内町古仁屋

環境省は4日までに、瀬戸内町古仁屋の仲里川で駆除作業を進めていた外来種の水生植物オオフサモについて、駆除から1年以上にわたって再生しておらず、「(この地点では)根絶した可能性が高い」と発表した。奄美大島では他に河川など10カ所で生育が確認されており、同省は「外来種対策は世界自然遺産の価値の保全上、重要な課題。関係機関と連携して防除を進める」としている。

 

オオフサモは南アメリカ原産。熱帯魚の水槽用などの観賞目的で移入され、野外に広がったとみられる。地下茎で広がるほか、切れた根茎からも再生して増え、水面を覆いつくして生態系に影響を及ぼす。2006年に外来生物法に基づく特定外来生物に指定され、栽培や保管などが規制されている。

 

仲里川では古仁屋市街地を流れる主に3カ所(約44平方メートル)で確認され、2021年3月に瀬戸内町が駆除に着手。地元の観光事業者やボランティアの住民らの協力も得て手作業で駆除を進め、5月末までに約610キロと90リットルのポリ袋46個分を回収した。

 

同年7月には、重機を使って根が残っている恐れがある約20~30センチの深さの土砂を取り除いた。環境省と同町などは先月上旬、現地で調査を行い、新たに生えている株がないことを確認した。今後も定期的に調査を行う。

 

奄美大島では他に宇検村を除く4市町村の10カ所でオオフサモの侵入が確認されている。河川の数百メートルにわたって繁茂していたり、水田に侵入して稲苗を植えられなくなるなどの被害も確認されている。

 

同省奄美群島国立公園管理事務所の阿部愼太郎所長は「(オオフサモは)一度定着すると完全に排除することは容易でない。残る10地域でも地道に作業を実施する必要がある。関係機関と連携して奄美大島からの根絶を目指したい」と述べた。

駆除から1年以上再生が確認されていない現地=7月6日(写真は全て環境省提供)