子育て見守り、伝える 写真家・勝さん「自然に関心持って」 きょうから愛鳥週間 奄美大島

2022年05月10日

昨年子育てしていたリュウキュウアカショウビン。巣穴に餌を運ぶ親鳥=2021年6月25日、奄美市笠利町(右)とひなに餌を運ぶオーストンオオアカゲラの雄=2018年5月、奄美大島(写真はすべて勝廣光さん撮影)

「キョロロロロー」。奄美市笠利町の自然写真家、勝廣光さん(74)の自宅の裏山で、朝夕にリュウキュウアカショウビンの澄んだ鳴き声が響き始めた。奄美では一年を通して見られる野鳥が子育ての終わりに差し掛かる頃、南方から夏鳥たちが渡って来る。「今年は早いな。もう梅雨が始まるという便りだ」。山を見上げて、勝さんはつぶやいた。

 

アカショウビンが裏山にやって来るのは今年で3年目。勝さんは4月下旬に鳴き声を確認し、「今年も来るかと、ずっと待っていたのでほっとした」と胸をなで下ろした。毎年、親鳥が餌を運んだり、水浴びしたりする様子をそっと見守る。昨年は7月上旬にひなが巣立ったという。

 

山中では、奄美の希少な野鳥たちも子育てに励む。勝さんは3月、ルリカケスのつがいの仲睦まじい様子をカメラに収めた。これからの時期は、オーストンオオアカゲラの動きが活発になるという。

 

気掛かりなのは、野鳥の餌になる虫が今年は特に少ないこと。勝さんは「人間が気付かないうちに、住みにくい環境になっているかもしれない。生き物はみんなつながっている。一人一人が身の回りの自然に関心を持つことが大事だ」と力を込めた。

 

5月10日から16日は野鳥の愛護を呼び掛ける「愛鳥週間」。野鳥を通して、世界自然遺産に登録された奄美の自然の大切さを知り、保護につなげたい。

ルリカケスのつがい。雌(右)に餌を渡す雄=3月25日、奄美大島