推薦地保全でモニター計画
2019年07月24日
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」世界自然遺産候補地地域連絡会議の奄美大島部会が23日、奄美市役所であった。事務局の環境省から、希少種の個体数動向や観光利用に伴う環境負荷など推薦地の保全状況について、科学的な評価を行い管理に活用するモニタリング計画案が示された。計画は来年夏の奄美・沖縄の自然遺産登録に向けて、今年夏から秋ごろに候補地4地域で現地調査を行う国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)に提出する方針。
地域連絡会議は行政や地元団体など関係機関の調整や合意形成を図る目的で設置され、候補地の4地域にそれぞれ部会を設けて遺産の適正な管理の在り方を検討している。奄美大島部会には約50人が出席した。
モニタリング計画については、2018年5月に奄美・沖縄に「登録延期」を勧告したIUCNが、絶滅危惧種の状態・動向や人為的影響、気候変動による影響に焦点を当てた総合的モニタリングシステムの構築を課題の一つに挙げていた。
計画案では▽固有種・絶滅危惧種の保全状況▽固有種・絶滅危惧種への人為的影響▽外来種の生息・生育状況▽観光利用の状況と環境負荷▽気候変動や災害の影響―の5項目について各地域ごとに具体的なモニタリング指標を設け、調査内容をまとめた。行政など関係機関のほか、地域住民が参画するモニタリング体制の検討を進める。
計画期間は10年間。各指標の調査結果については、1年に1度、専門家の助言を受けて評価を行い、地域で共有して対策を検討する。約5年に1度、遺産価値の保全状況を総合的に評価し、ユネスコ世界遺産センターに報告。IUCNが推薦地の保全状況が適切かどうか判断する。
計画はIUCNの現地調査の資料として提出するほか、地域連絡会議などの了承を経て来年2月に策定し、遺産の推薦書の追加資料としてIUCNに正式に提出する。