繁殖期の野鳥受難 ルリカケスのひな危機一髪/龍郷町瀬留 トイレに割れた青い卵/奄美市名瀬

2022年04月21日

ルリカケスのひなに忍び寄る猫=12日午前5時20分ごろ、龍郷町瀬留(松田秀樹さん提供)

奄美大島では繁殖期を迎えた野鳥の活動が活発になっている。人里近くで子育てに励む姿も見られるが、卵やひなを狙う外敵は多く、受難が続発している。

 

龍郷町瀬留の松田秀樹さん(72)宅で12日、営巣していた国の天然記念物で奄美の固有種のルリカケスのひなに、猫が忍び寄る姿を監視カメラが捉えた。ひなは猫を威嚇して追い払い、翌日、無事に巣立って行った。

 

トイレの床で割れていた青い卵=16日、奄美市名瀬平松町(提供写真)

松田さん宅では2月中旬ごろ、玄関の軒下でルリカケスが営巣を始めた。松田さん家族はカメラを設置して子育ての様子を見守った。12日早朝、3羽のひなのうち、2羽が庭に下りているのを発見。カメラの映像を確認すると、直前に巣に近付く黒い猫が写っていた。2羽は猫に驚いて逃げたとみられ、残った1羽が翼を広げて猫を撃退した。

 

「猫に負けずよく生き残ってくれた。無事に大きくなってほしい」と松田さんは胸をなで下ろした。

 

◇   ◇

奄美市名瀬平松町の県営住宅で16日、トイレの床に青い卵のようなものが割れて散らばっているのが見つかった。NPO法人奄美野鳥の会の鳥飼久裕会長によるとイソヒヨドリの卵で、「なぜ室内で割れていたのかはミステリーだ」と首をひねった。

 

イソヒヨドリは全国の海岸の岩場などに生息。近年は都市や集落付近にもすむようになった。繁殖期の3~6月ごろ、岩や建造物の隙間に営巣し、コバルトブルーの卵を4、5個産む。

 

同日午後2時半ごろ、住宅にすむ女性(63)が家に戻ったところ、卵を見つけた。トイレの小窓には面格子があり、窓は開けていたという。「最初はおもちゃかと思ったけれど、黄身のようなものがあった。なぜこんなところに」と驚いていた。

 

鳥飼会長は「卵を盗んだカラスなどが窓の桟のところで休んだときに、誤って落とした可能性がある」と考察した。