開所から20周年 野生生物保護センター

2020年06月30日

開所から20周年を迎えた奄美野生生物保護センター=大和村

開所から20周年を迎えた奄美野生生物保護センター=大和村

 環境省奄美野生生物保護センター(大和村思勝)は2020年度、開所から20周年を迎えた。奄美群島の希少な動植物の調査・研究と保護に関する事業を展開。野生生物の生態や自然環境を学ぶ施設として親しまれ、総入館者数(19年度末現在)は17万8119人に達した。奄美・沖縄の世界自然遺産登録に向けて、価値ある自然を守り、多様な動植物の魅力を発信する拠点施設として役割はますます重要になる。

 

 同センターは2000年4月に開所した。同省の自然保護官が常駐し、国の特別天然記念物アマミノクロウサギをはじめ絶滅の恐れのある野生生物の保護増殖事業や、特定外来生物マングースの防除事業など幅広い業務を担う。

 

 展示棟は鉄筋コンクリート平屋建て、延べ床面積508・47平方㍍。世界自然遺産登録による観光客の増加を見据えて14年4月にリニューアルされ、展示内容を充実させた。奄美に生息する希少動物の?製や標本を豊富にそろえ、解説パネルやタッチパネル式の図鑑で動物や植物の生態を楽しみながら学べる。

 

 センター職員による学校での出前授業や、子どもたちや住民を対象にした自然観察会など、普及啓発活動にも力を入れている。

 

 年間利用者は開所した00年度が最多の1万4906人。リニューアルした14年度は1万2210人と01年度(1万1065人)以来13年ぶりに1万人を突破。以降は19年度まで6年連続で1万人台で推移している。

 

 同センターの千葉康人世界自然遺産調整専門官は「地域の皆さんに奄美の自然の魅力を体感してもらえるような施設を目指している。奄美群島全体の自然環境保全を担う拠点としての役割を果たしていけるように職員一同努めていきたい」と話した。

 

 本年度内に記念イベントや展示のリニューアルを予定している。