トゲネズミの飼育紹介 動物園からオンライン講演

2022年02月21日

奄美から届いたメッセージを手に笑顔を見せた動物園の担当者=20日

奄美市立奄美博物館主催の自然講演会が20日、オンラインで開かれた。奄美大島だけに生息する絶滅危惧種のアマミトゲネズミを守ろうと、飼育に取り組む国内各地の動物園が飼育環境や子育ての様子などを紹介。奄美大島から届いた餌のシイの実に「送ってくれてありがとう。おいしく食べています」と感謝した。

 

アマミトゲネズミは体長10~16㌢。全身にとげ状の毛があるのが特徴。環境省が絶滅危惧種の保全を目的に進める「生息域外保全」の取り組みで、2017年から国内の動物園で飼育し、繁殖させる試みを行っている。

 

講演会では、奄美博物館学芸員の平城達哉さんがトゲネズミの生態や、動物園へ届けるために、島内の親子が参加して行われたシイの実を拾うイベントについて紹介した。

 

埼玉県こども動物自然公園の高木嘉彦さんがトゲネズミの飼育の取り組みについて説明。飼育下で初めて繁殖に成功した19年以降、これまでに90匹の子ネズミが誕生し、現在、国内の7施設が飼育している。飼育することで、繁殖時期が9月から5月ごろまでと長く、1度に1~7匹を出産することや、餌をためる習性などが明らかになったという。

 

同園と宮崎市フェニックス自然動物園、神戸どうぶつ王国の担当者らが飼育施設の中の様子や、誕生した子ネズミの映像などを紹介。シイの実と一緒に奄美から届いたメッセージカードを手に、「飼育は大変だけど励みになった」と笑顔を見せた。