リュウキュウアユ回復傾向 前年比微減も、2万3千匹余確認 奄美保全研究会 22年調査報告 奄美大島

2022年12月27日

 

    奄美リュウキュウアユ保全研究会(会長・四宮明彦元鹿児島大学教授)は24日、奄美市住用総合支所で数値検討会を開いた。今年11月の個体数調査の結果、確認数は2万3643匹で、前年の調査結果に比べ12%減少したが、過去5年で2番目に多かったことが報告された。鹿児島大学水産学

環境省のレッドリストで絶滅危惧ⅠA類のリュウキュウアユ(資料写真)

部准教授で同研究会の久米元さん(48)は、調査結果について「総じて悪くはない。昨年より減少したが全体的に見れば大きな差ではなく、引き続き回復傾向にある」と分析した。

 

奄美大島だけに天然の個体が残るリュウキュウアユの個体数調査は鹿児島大学と琉球大学などが合同で実施。毎年、稚魚が海から川へ上る春(5月)に遡上(★そじょう)個体数を確認し、産卵のため川の下流に集まる繁殖期(11月)に産卵する親魚数を調査している。今年は新型コロナウイルスの影響で5月の調査が延期となり、7月16~18日に島内12河川、11月11~13日に11河川で潜水調査を行った。

 

主な生息域である島内4河川別の確認数(11月調査)は、最も多い役勝川が1万8009匹と21年の2万2057匹を下回ったが、河内川2973匹(21年2330匹)、川内川1437匹(同901匹)、住用川1101匹(同893匹)といずれも前年を上回った。

 

久米准教授は個体数の増減には前季の冬の温度が大きく影響すると指摘。「危機的状況は脱したが、暖冬など温度上昇により再び減少に転じる可能性は十分にある」とした。

 

また、7月の調査で役勝川に生息するアユは同川の石の付着藻類を多く摂取していることが判明した一方、川内川に生息するアユには付着藻類がほぼ見られず、「アユの食性について河川や時期による違いがあるのか確認していきたい」と述べた。