密猟・密輸対策強化へ連携 奄美空港で研修会 希少種の見分け方学ぶ 

2022年06月28日

標本を見ながら希少なクワガタ類の見分け方を学んだ空港関係者=27日、奄美市笠利町の奄美空港

希少な動植物の密猟・密輸対策研修会が27日、奄美市笠利町の奄美空港であった。空港関係者ら9人が参加。環境省の職員が法令で捕獲や採取が禁止されている希少種を紹介し、違法に持ち出されやすいクワガタ類の見分け方などを説明。世界自然遺産に登録された奄美大島の希少な生き物を守るため、水際対策の強化に連携して取り組むことを確認した。

 

奄美大島では2019年、希少なカエル類などを奄美空港から持ち出そうとした男2人が、種の保存法違反などの罪に問われた密猟事件が発生している。

 

研修会は希少種の持ち出しを防止するため、環境省と奄美関係の民間企業・団体で構成する世界自然遺産推進共同体が共催。19年7月以来3回目。同省奄美群島国立公園管理事務所の釣谷洋輔離島希少種保全専門官、田口知宏国立公園管理官が講話した。

 

釣谷専門官らは、島内で発生した盗掘・密猟の被害や、関係機関によるパトロールや監視カメラの設置などの取り組みを紹介。島外への持ち出しを防ぐために、「空港や港など水際の対策は非常に重要」と強調した。

 

特に違法な捕獲が懸念されるクワガタ類などは、マニアが多くインターネット上で高値で売買されることがあり、小さく目立たないため持ち出されやすいと指摘。島内5市町村が条例で採集を禁止しているアマミマルバネクワガタなどを判別するポイントを解説した。

 

空港関係者らは乗客が持ち込んだ動植物について、法令違反となる種かどうかを同省職員と連携して確認している。奄美航空旅客担当の叶孝一郎さん(56)は「クワガタ類の見分け方を再確認した。学んだことを職員にフィードバックして、お客様に対応していきたい」と話した。