伝統文化、残る形で保存 八月踊りをDVD化 奄美市笠利町
2022年12月08日
芸能・文化
地域の伝統を残る形で保存しよう│奄美市笠利町の外金久、中金久、里の3集落で構成される赤木名八月踊り保存会(盛末彦会長)は4日、赤木名地区の八月踊り15曲のDVD化に向けた収録を行った。収録場所の奄美市笠利公民館には、同保存会メンバーや地域住民、赤木名小学校の児童など約60人が集結。大きな輪をつくり、男女が歌を掛け合いながら気持ちを一つに伝統の踊りを繰り広げた。
過疎化で地域や集落の行事や文化の保存が難しくなる中、後継者育成につなげようと2011年から始まった奄美市伝統文化保存事業の一環。市はこれまで、同保存会を除く市内27団体を対象に、八月踊りや豊年祭、ムチモレ踊りなどをDVDに収録した。
赤木名八月踊り保存会は18年に発足。以前は集落ごとに八月踊りを受け継いでいたが、人口減少や高齢化により継承が困難となったため、3集落合同で踊りや歌を統一した。メンバーらは同公民館生涯学習講座として毎月2回練習を行っているほか、赤木名小、中学校を訪れて児童生徒に八月踊りを教えるなど、継承活動に力を入れている。
八月踊りのDVD化は当初20年を予定していたが、新型コロナウイルス感染拡大のため延期に。2年の時を経て実現した。住民主体の地域活動を支援する「奄美市紡ぐきょらの郷(★シマ)づくり事業」の助成を受け、歌詞の教本や法被も新調した。
この日参加者らは、そろいの法被に身を包み、カメラの前で八月踊りを実演。赤木名小の児童6人も輪に加わり、地域住民らと一緒に「さんだまけまけ」や「赤木名観音堂」などを元気よく踊った。最後は、全員で活気あふれる六調や天草を踊り、全曲の収録完了を祝った。
恵敦志君(赤木名小2年)は「みんなで踊れて楽しかった」と笑顔。盛会長(73)は「感動で胸がいっぱい。(DVDは)ずっと残り続け、一生の宝になる。若い世代にも八月踊りをつないでいきたい」と話した。
DVDは来年3月ごろに完成予定。市教委と同保存会が保管する。市担当者は「動画記録として残すことで、次世代が地域の伝統を継承する教材として活用してもらえれば」と語った。