奄美大島で初確認 海外で被害甚大 被害葉除去など対策呼び掛け 外来カイガラムシ

2022年12月08日

地域

被害を受けたとみられるソテツ(円内は葉に付着したカイガラムシ)=11月16日、奄美市名瀬

今年10月ごろから奄美大島で拡大しつつあるソテツのカイガラムシ被害について、県森づくり推進課は7日、国内初確認の外来種によるものと発表した。同種は台湾やグアム島など世界各国でソテツ類に甚大な被害を及ぼしており、県は所有者や公園管理者らへ被害葉の除去や幹への薬剤散布などの防除対策を呼び掛けている。

 

カイガラムシは植物に付着し、幹や枝、葉などの汁を吸って植物を弱らせる害虫。

 

県によると、今回確認されたカイガラムシは学名Aulacaspis yasumatsui(アウラカスピス ヤスマツイ)。海外では通称「CAS」と呼ばれており和名は未定。東南アジア原産で、成虫のメスは2㍉程度の白い介殻(かいがら)を背負う。ソテツ科植物の葉裏に多く寄生するほか、多発すると葉の表面でも吸汁。根にも寄生し、地下60㌢での生息確認もあるという。

 

メス1頭から100頭以上に繁殖するとされ、数カ月で株全体が覆われることもある。吸汁被害を受けた部分は黄変、やがて全体が黄白色~褐色になり、激しい場合は1年以内に枯死する。

 

同センターによると、昨年夏から奄美市で少数の被害が確認され、県森林技術総合センターが今年11月に調査を開始。鹿児島大学に識別を依頼し、形態観察や遺伝解析で断定した。今年10月以降は龍郷町、大和村にも被害が拡大している。

 

12月6日現在の推定被害本数は711本で、県大島支庁は県道沿いや公園などの被害ソテツ201本を駆除した。このほか、ソテツの所有者や道路・公園管理者へ①被害を受けた葉の焼却処分②幹への薬剤散布③冬季の剪定(せんてい)│などの対策を周知している。

森林技術総合センターの岩元高治所長は「被害葉の処分時はカイガラムシが飛散しないよう注意を。また、被害地域周辺では冬の間に葉の剪定を行うなど、拡大防止に努めてほしい」と呼び掛けた。