八月踊り継承へ意見交換 奄美市で映像上映会 国立民族学博物館
2024年02月04日
芸能・文化
国立民族学博物館(大阪府)が2004~05年に記録した映像作品「奄美大島の八月踊り」の上映会・意見交換会が3日、奄美市名瀬の奄美川商ホール(奄美文化センター)であった。作品は制作当時の07年にも同市名瀬の奄美博物館で上映されたもので、77分間。研究者や地元学芸員、地域住民など約20人が参加し、八月踊り継承の在り方について意見を交わした。
奄美群島の芸能の映像化やデータベース化などに取り組む国立民族学博物館の二つのプロジェクトが共催。23年に同作品の未公開映像などをまとめたデータベースを作成したことから、今後の活用方法を考える場を設けようと再び上映会を開いた。
約20年前の映像には、奄美市笠利町の城前田や佐仁、宇検村阿室、瀬戸内町油井などの八月踊りが収録されており、歌掛けの形式や一連の流れ、奄美大島北部と南部の特徴などが解説されている。
視聴後は、参加者らが八月踊り継承について意見交換。城前田集落在住の西浩信さん(63)は「継承者が少なく踊りが寂しくなっている。練習では、歌詞カードの通り覚える若い世代と自由に歌掛けをしたい年配者との間でやり方がかみ合わない」と現状や課題を伝えた。
このほか、「そろいの浴衣姿で踊る『ユニフォーム化』が進み、八月踊りに気軽に入りづらくなっている」「郷友会の人の助けがないと集落行事ができないという状況が常態化している」との指摘や、「学校・PTAと保存会が協力して子どもたちに継承することが大切」などの声が上がった。
会場では、昨年11月末から島内2カ所の資料館でも展示されているデータベースをお披露目。奄美大島各地の芸能を地名などから検索でき、映像・歌詞・解説が閲覧できる。24年度からはインターネット上で公開する予定。