島唄音源をデジタル化へ 研究者らがデータ検証 久保氏収録の資料

2024年05月18日

芸能・文化

研究者や唄者がデジタル化された島唄の音源を聞いた検証会=17日、奄美市名瀬

喜界島出身の民謡研究家、久保けんお氏(1921~91)が中心となって1940~60年代に奄美民謡などを収録したオープンリール・カセットテープの一部がデジタル化され、奄美市名瀬の鹿児島大学国際島嶼(とうしょ)教育研究センター奄美分室で17日、音源の検証会が行われた。同分室の原田敬子客員研究員(56)と瀬戸内町立図書館・郷土館職員の里朋樹さん(33)が、音源を基に島唄の歌詞や歌い方の特徴などを考察し記録。オブザーバーとして唄者の楠田莉子さん(25)も参加した。

 

オープンリールとカセットテープは計83本あり、奄美群島を含む県内の民謡が収録されている。所有者だった久保氏が80年代後半に鹿児島市の県立図書館に寄贈したが、長年、世間の目に触れないままになっていたという。

 

原田客員研究員らは2020年9月に資料を確認。劣化が進んでいたため、音源をデータとして保存することを提案した。資料は昨年、瀬戸内町立図書館・郷土館に35本、同大学の「鹿児島の近現代」教育研究センターに48本が移管され、デジタル化が進められている。

 

この日は瀬戸内町に移管された資料のうち、原田客員研究員が個人で地元業者に依頼しデジタル化した音源を検証。奄美大島南部の島唄を中心に50曲以上を試聴した。里さんが三味線の弾き方や声質などから歌い手を推察したり、方言の歌詞を聞き取ったりし、原田客員研究員が記録した。

 

里さんは「文字でしか見たことがなかった曲もあり驚いた。多くの人に聞いてもらえるよう今後どのように展示するかを検討したい」、原田客員研究員は「公共の施設で(資料を)大事に守って運用し、みんながアクセスして聞けるようになれば」と期待した。