新会長の田畑さん記念講演 武蔵野奄美フォーラム20年 東京

2024年05月01日

芸能・文化

20周年の歩みを振り返る武蔵野奄美フォーラム名誉会長の叶芳和さん=4月28日、東京都武蔵野市

東京在住の奄美出身者らで構成する「武蔵野奄美フォーラム」(叶芳和名誉会長)の第41回会合が28日、東京都武蔵野市の武蔵野商工会議所であった。総会があり、新会長に奄美市名瀬出身の田畑千秋さん(71)が選ばれた。今年は設立20周年を迎えたことから、記念式典を催し、約80人が出席。大分大学名誉教授で民俗学者の田畑さんの講演もあり、言語と歌文化を通じて改めて奄美のアイデンティティーについて考えた。

 

叶名誉会長は記念式典で20年の歩みを振り返り「2004年に30人から始まったフォーラムも今は80人と右肩上がりで成長してきた。文化の発祥の地である武蔵野で、奄美の人たちによる地域に根差した文化フォーラムとして、今後も東京奄美人の新たな持続的発展の道を模索したい」と述べた。

 

続いて3年間皆勤でフォーラムに出席した12人を功労者として表彰した。受賞した平榮光さん(90)=名瀬出身=は「参加された方、講師の方々、運営してきた役員のみんなが値する賞。ふるさと奄美の発展に貢献し、奄美に誇りを持って堂々と生きていきたい」と語った。

 

小勝(こかつ)竹雄さん(85)=名瀬出身=は「これを励みに、フォーラムがますます発展していくよう、皆さんと一緒に学びたい」と語った。

 

言語から見た奄美のアイデンティティーについて語る新会長の田畑千秋さん=4月28日、東京都武蔵野市

田畑さんは「奄美の言語と文化」と題し、1950年代、70年代の2度にわたり行われた九学会連合奄美調査を踏まえながら、奄美の島々で話される言葉の特徴を紹介。「昭和30年から50年にかけて奄美で使われる言葉が急速に変化してきた。若者世代では島口を聞き取ることも難しくなっている」と実情を話した。

 

歌と文化に関しては、島唄や八月踊りに見られる男女の歌の掛け合い文化を取り上げ「男女の歌の掛け合いは風土記や万葉集の時代にあった歌唱システムだったが、平安以降ほとんどなくなり、今は奄美にだけ残っている」と説明。講演後の質疑応答では、言語や文化の継承について出席者から活発な意見や質問が寄せられた。