米国で奄美文化の展覧会 大島紬、島唄など多彩に カリフォルニア州立大チコ校

2024年05月23日

芸能・文化

会場に飾られた大島紬と帯=5月、米国(提供写真)

米カリフォルニア州立大学チコ校で1~12日(現地時間)、奄美や日本の文化・アートを伝えるイベント「TSUMUGI:Art and Culture in Amami Islands」(NPO法人アマミーナ主催)が開かれた。主催者代表は同大学で美術教育学、芸術鑑賞学を教える奄美市名瀬出身の徳雅美教授(65)。期間中は大島紬の展示のほか、奄美大島から唄者の平田まりなさん(28)、米ロサンゼルスから名瀬出身のプロダンサー川畑まりゐさん(27)が駆け付け共演。奄美内外からアマミーナ会員6人も渡米し、紬姿で茶のお点前や生け花などを披露。多くの人であふれかえる会場で、奄美の女性たちが輝いた。

 

徳教授は2002年に本場奄美大島紬協同組合の協力などを得て、同校で大島紬や奄美の写真展を開いた。その後大学で教壇に立つ傍ら、少女まんがやポップカルチャーの展示会を世界各地で開催。25年間勤めた同校の一線から退くタイミングを出身地である奄美大島の文化で飾りたいと本展を開いた。

 

会場には、徳教授の母・故妙子さんの形見の大島紬や帯などを展示。展示方法は美術教育学の学生たちが考えた。奄美とアメリカそれぞれのソウルミュージックである「島唄」と「ジャズ」の共演も企画。次の世代につなげたいと平田さんと川畑さんに声を掛けた。

 

徳雅美教授(右から2人目)と平田まりなさん(同4人目)、川畑まりゐさん(左から2人目)、アマミーナ会員、現地ジャズバンドのメンバーら=5月、米国(提供写真)

大島紬が壁一面に飾られた会場内を茶室に見立て、2畳の置き畳を用意。奄美から渡米した紬姿の朝山弘乃さん(70)が抹茶をたて、大山久代さん(65)らが来場者に茶や菓子を配った。隣室では吉田和代さん(76)が現地で集められた草花を生け、徳教授が英語で解説した。朝山さんは「道具が大事かなと思ったが、ありのままのお点前を真剣に見てくださった」、吉田さんは「熱心に質問をされていて驚いた」と現地の人々の印象を話した。

 

徳教授は「25年間の最後を大島紬で締めくくることができてよかった。やりきった。まりなさんやまりゐさんのように、世界に立つ若い人たちにつなげることができた」と語った。

 

徳教授は今後、同校の名誉教授として春学期のみ教壇に立つ。