「恵まれた今、感謝の気持ちを」 戦争体験、伊口さんが講話 和泊中

2023年07月22日

子ども・教育

自身の体験を交えて講話した伊口重一さん=20日、和泊中学校

【沖永良部総局】和泊町の和泊中学校(山端達雄校長、生徒145人)は20日、同校のあかね文化ホールで平和講話を行った。同町の伊口重一さん(89)が自身や周囲の人々の体験をもとに戦争の恐ろしさや島民の苦労を語り、「あまたの犠牲のもとに平和が成り立っている。今の恵まれた暮らしに感謝の気持ちを持って」などと呼び掛けた。

 

伊口さんは小学3年生の頃、米軍による沖永良部島への艦砲射撃や空襲を経験。「学校を見に行くと、校舎が焼かれ、校庭には直径約10メートル、深さ約5メートルのすり鉢状の穴が5、6個あった。怖くて、体がぶるぶる震えた」などと振り返った。

 

親戚や知人の戦死や、国のプロパガンダ(政治的宣伝)により日本の統治下にあった異国へ移民した島民の事例も紹介し、戦後も消えることのない遺族の悲しみや苦難を語った。

 

和泊中学校の歴史にも触れ、1957年創立で同年に給食が始まったことや、教諭らの思いが込められた校歌が完成したことなどを解説。「当時弁当を持って来られない子どももいた。今は本当に平和な世の中で幸せだと思う。皆さんも1週間、1カ月に1回でも給食を食べながら、その事に感謝の気持ちを持ってほしい」と訴えた。

 

生徒からは「授業とは違い、実際に戦争を体験した伊口さんの講話は言葉一つ一つに重みがあり、私たちが今当たり前のように過ごしている日々がどれだけ尊くていとしいものかを改めて感じた」(2年)、「戦争を再びしないためにも、相手を敬うことが大切だなと思った」(3年)などの感想が聞かれた。