「納得いく生きざまを」 最優秀賞は73歳の中原さん 奄美高定時制の体験発表

2022年09月17日

子ども・教育

奄美高校定時制の校内生活体験発表会で、卒業への強い思いを述べ、最優秀賞に輝いた中原政廣さん=15日、奄美市名瀬の同校

県立奄美高校定時制(田中耕一郎校長、生徒30人)の第53回校内生活体験発表大会が15日、奄美市名瀬の同校であった。生徒10人が、高校入学前後の出来事や心に抱えてきた思いを振り返り、気持ちの変化や将来の夢などを発表した。最優秀賞には、高校卒業にかける強い思いを話した73歳の2年生、中原政廣さんが選ばれた。

 

大会は、学校生活を通じて学んだ貴重な体験を発表し、多くの人々への共感と励ましを与えることを目的に、毎年開いている。

 

中原さんは家庭環境から高校進学を断念した58年前を振り返り、「就職し家庭を持っても、いつか必ず高校で学びたいと思っていた。体の不調などで一時は退学も覚悟したが、同級生の悩み苦しみながらも頑張る姿に励まされた。自分を支えてくれる人たちに『おかげさまで』と卒業のお礼を伝えられるまでは頑張る。それが自分にとって納得のできる生きざまだ」と、58年分の思いを乗せた強い気持ちを述べた。

 

優秀賞には「大人と子供の境目」と題し、大人を信頼できなかった経験があるからこそ「人を信頼し、人に信頼される大人になりたい」と話した1年生の島田信愛さん(15)と、「人へ相談することは苦手だったが、母の言葉や高校生活を通じ、悩むことは成長するチャンスと気付いた」と語った2年生の南小遥さん(16)が選ばれた。

 

藤山和樹教頭は「中学生から高校生へ至る気持ちや考え方の変化がよく伝わってきた。今後も経験を重ね、成長してほしい」と講評した。最優秀賞の中原さんは今後、新型コロナウイルス対策のため動画での審査となる県大会への動画制作に取り組む。