クロウサギ、保護へ何が必要? 「うさぎ博士」の山田教授 伊仙町・馬根小で出前授業
2023年01月15日
子ども・教育
沖縄大学客員教授で世界自然遺産地域科学委員も務める山田文雄教授(69)=茨城県つくば市=の出前授業が12日、伊仙町の馬根小学校(徳永一哉校長、児童10人)であった。奄美大島と徳之島だけに生息する国指定特別天然記念物のアマミノクロウサギの生態などについて解説。児童らは他のウサギとの違いや、今後の保護のために何が必要かについて学んだ。
山田教授は世界中のウサギについて詳しく、「うさぎ博士」の異名も持つ。
山田教授によると、世界のウサギがナキウサギ科(29種)とウサギ科(63種)に分かれ、ウサギ科はさらにアナウサギ類(31種)、ノウサギ類(32種)。アマミノクロウサギはアナウサギ類に含まれる。
授業で山田教授は、アナウサギ類の中で鳴き声を出せるのはアマミノクロウサギだけと話し、鳴き声がネコに聞こえる範囲の周波数であることから、鳴き声がネコに捕食されやすい原因ではないかと推測。他の鳴き声を出せるアナウサギ類は、捕食によって絶滅した可能性があると説明した。
鳴き声以外の特徴では、ノウサギ類が1年間に産む子どもの数が約10頭なのに対しアマミノクロウサギは1~2頭と少ないことや、ドングリを食べること、寿命が長いことなどを挙げた。
山田教授は「ノウサギ類は捕食者から逃げるため足が速くなり、食べられても子どもを多く生むことで種が存続するように進化したが、進化前の古い特徴を多く残しているアマミノクロウサギは外敵に捕食されやすく絶滅の恐れが高いと言える」と説明。「保護のためには、イヌやネコが山に入らないようすること、クロウサギのすむ森を大切にすることなどが大切」とまとめた。
受講した6年生の常美里弥さんは「クロウサギがドングリを食べることや暑い昼間の過ごし方など初めて知ることが多くて面白かった。交通事故に遭うクロウサギも多いので周りの人に運転に気を付けるように伝えたい」と話した。