制服選択、奄美でも 9高校中6校が採用 生徒らは「メリット大きい」

2022年05月19日

子ども・教育

女子生徒のスラックス、ネクタイ着用が可能となった大島北高校の制服=11日、奄美市笠利町

全国の学校で多様性に配慮した選択可能な制服の普及が進む中、4月から奄美群島でも、公私立高校9校のうち4校で女子生徒用のスラックス、2校で自由選択制が導入された。機能性の向上や安全確保などが目的。生徒からは「選択肢が増えたことによるメリットは大きい」「誰もが着たい制服を着られるようになれば」などの声が上がっている。

(餅田彩葉)

 

■スラックス導入派

女子生徒がスカートかスラックスのいずれかを選べるようになったのは大島北、徳之島、喜界、沖永良部の4校。このうち大島北、徳之島ではリボンとネクタイも選択可能となり、生徒らは4パターンの中から好きな組み合わせで制服を着用できる。

 

新たな選択肢の導入は、動きやすさや防寒など、学校生活を過ごしやすくするための機能性向上が主な理由。現在、4校では男子生徒のスカート着用は認めていないが、生徒からの要望があれば対応策を考えるとしている。

 

■自由派

奄美と与論では制服の自由選択制を導入。奄美は制服のデザインは従来通りで、女子用、男子用という呼称をタイプA・Bに改めた。生徒らは男女関係なく制服を選ぶことができ、女子生徒がスラックス、男子生徒がスカートを着用することも可能。

 

与論ではネクタイとリボンも選択可能に。同校では生徒の8割以上が原付きバイクで通学することから、安全確保や機能面を重視して自由選択制の導入を決めた。結果として、多様性の観点からもさまざまな立場の生徒に配慮しやすくなったという。

 

■見送り派も検討中

変更がなかった大島、古仁屋、樟南第二でも来年度以降に向け、新たな選択肢の導入が検討されている。

 

大島では昨年、教員らが制服検討委員会を実施し女子用スラックスの見本を作製した。導入時期は未定だが、要望があれば個別に対応していくという。

 

樟南第二では来年度から女子生徒のスラックス着用を認める予定。希望があれば今年中にも対応できるようにする。古仁屋も昨年から継続して女子生徒のスラックスの導入に向けて準備を進めている。

 

■生徒の声

奄美市名瀬の高校1年生の男子生徒(15)は「(選択制は)男女の差が無くなり着たいものを着られるようになるので良いと思う。最近はスラックスを着ている女子を見かけることもあり、変化を身近に感じている」と話した。

 

同市名瀬の高校2年生の女子生徒(16)は「スカートをはき慣れているので自分にとっては(導入の是非は)どちらでもいい」としつつ「女子生徒のスラックスを導入するなら、同じように男子生徒の選択肢も増やすべき」と話した。

 

スラックスとスカートの両方を購入したという大島北高校1年の朝岡歩紀花さん(15)は「スラックスは動きやすいし寒い日でも温かい。その日の気分で変えられるのもうれしい」と選択制の利点を挙げ、「自分自身、日によって性自認が変わる『クエスチョンニング』。マイノリティーの人たちが嫌な思いをしなくて済むよう、時代に合わせていろんなことが変化していってくれたら」と語った。