地元進学の利点、もっとPRを 若者定住へ関係者ら意見交換 奄美看護福祉専門学校
2024年06月01日
子ども・教育
奄美市名瀬の奄美看護福祉専門学校(向井奉文校長)は31日、同市名瀬の奄美川商ホールで「若者の定住を促す集い」を開いた。行政や島内の医療・福祉関係者、高校で進路指導に関わる教諭ら約30人が出席し、奄美群島の高等教育機関として多くの人材を輩出してきた同校の取り組みに理解を深めた。出席者からは「地元で進学できて就職に強いという利点や、地域社会を支えている医療・福祉の仕事の意義をもっとアピールして」などの意見があった。
奄美看護福祉専門学校は旧名瀬市の誘致を受け、学校法人日章学園(本部宮崎市)が1995年4月に開校。これまでに2117人の卒業生を送り出した。うち、卒業時点で935人が群島内で就職している。同校によると、一度県外へ出た後に奄美へ戻って就職する例も多いという。
一方、少子化の影響もあって生徒数は右肩下がりの状況が続き、2024年度は看護学科、こども・かいご福祉学科ともに定員を下回った。奄美市側は人口流出の抑制や地元定着を図るため各種支援制度を設定し、学生確保に努めている。
集いで向井校長は「奄美の人口減少問題に対し、本校は教育機関の立場から応えてきたと自負している。地元を担う若者の定住に向けて互いに意見を出し合えれば」と協力を求めた。
同校から▽短期間で複数の資格を取得でき、卒業後短大卒業資格が得られる(こども・かいご福祉学科)▽他校と比較して学費が安く、自宅から通える金銭的利点がある▽各種支援制度が充実している▽就職先になり得る施設で実習できる▽少人数制で学びに集中できる―などの特色が紹介された。
在校生6人も参加し、「保育士以外の資格も同時に取れるのが魅力」「実習を通して地元の現状を知ることができ、自宅から通える」「卒業後は地元で働いて地域に貢献したい」などと同校をアピールした。
意見交換では「子どものうちから医療・介護の仕事について知ってもらう取り組みを」「高校卒業後に県外へ出ることを求める保護者も多く、保護者へのPRも必要」「島外に出たいが、将来は戻ってきたいという高校生が多い」「金銭面で高校卒業後の進学を諦める場合もあり、行政の支援をいただきたい」などの意見が上がった。