話題の最前線 元日本代表が新監督に 子どもたちをいつか全国へ 樟南第二高女子バレー部
2022年05月05日
子ども・教育
樟南第二高校の女子バレーボール部に頼もしい指導者が現れた。新監督に就任した体育教諭の鶴田大樹さん(30)は日本代表を務めた経験もある元Vリーガー。トッププロを奄美群島の一離島に導いたのは「島の子どもたち」だという。新天地で第一歩を踏み出した鶴田さんは「県上位で戦えるチームを目指し、いつかは全国へ連れて行きたい」と新たな目標を語った。
鶴田さんは福岡県出身。東福岡高校のエースアタッカーとして活躍し、春高バレー(全日本バレーボール高校選手権)で決勝進出を果たした。東海大を経てサントリーサンバーズに入団。プロ入り後はリベロで活躍し、2017年には日本代表入り。21年、22年とチームのリーグ連覇に貢献して花道を飾った。
引退を引き止める声もあったが、「実は指導者としてのキャリアを積むためにプロになった。選手よりも指導者になりたいという思いがあった」と言う鶴田さん。5月2日に同校体育教諭として辞令を受けた。
徳之島を選んだのは、過去に島内で開催したバレーボール教室で指導した子どもたちが理由だという。「23歳の夏に初めて指導した時に子どもたちの熱心さに感銘を受けた。4回ほど教室を開いたが、毎年変わらない熱意で取り組んでくれる。この子たちにバレーを教えたいと思った」と当時を振り返った。
徳之島の選手については「身長が低い傾向があるが身体能力が高い子が多い。何より競技に一生懸命取り組む姿勢が良い。キラキラと輝いている」と目を細め、「自身がリベロだったこともあり、守備重視の指導になる。粘り強く全員で守る。皆で声を出して試合も練習も楽しめる活気のあるチームを目指したい」と笑顔を見せた。
同部は現在部員10人。中には小学生の時にバレー教室で鶴田さんの指導を受けていた選手もいる。前年度は新型コロナウイルスの感染拡大が原因でほとんどの県大会には出場できず、唯一出場した県高校総体は初戦敗退だった。
福田円香主将(3年)は「基本を丁寧に教えてくれる。特にレシーブは、取りづらいきわどいポイントに打ってくるのでとても練習になる」と鶴田さんの指導について語り、「監督のおかげでチームもまとまってきている。3年生は高校総体が高校最後の大会になるので、今年こそは初戦突破を果たしたい」と力を込めた。
(徳之島総局)