軍政下の密航描く自作絵本 大和村の晨原教育長が寄贈 奄美図書館

2023年07月07日

子ども・教育

歴史絵本「奄美群島日本復帰70周年・島人が語り継ぐ アメリカ軍統治下の命がけの密航」を寄贈する晨原弘久教育長(右)と、受け取る加峯美由紀館長=6日、県立奄美図書館

大和村教育委員会の晨原(あさはら)弘久教育長は6日、奄美市名瀬の県立奄美図書館へ自作の歴史絵本「奄美群島日本復帰70周年・島人が語り継ぐ アメリカ軍統治下の命がけの密航」を寄贈した。晨原教育長は「小学生でも分かるように心掛けた。多くの人に先人の偉業を知ってほしい」と話している。

 

同書は、奄美群島の米軍統治下時(1946~53年)に、奄美の人々が経験した密航の様子を、古写真や漫画で分かりやすく解説。文章も絵も晨原教育長が自ら手掛けた。

 

太平洋戦争が始まった背景や終戦後の奄美群島の生活環境を解説。生活物資を仕入れるため、12歳で家族を代表して密航密貿易体験をした故岡登美江さんの証言や、進学や就職のために本土へ密航した人々の様子、教育や日本復帰運動のために密航した人々の歴史を解説している。

 

晨原教育長は昨年10月にも絵本「島人が成し遂げた無血革命 奄美群島日本復帰運動」を編集し、同図書館へ寄贈。今回の絵本は「密航」の歴史に焦点を絞り、約半年かけて6月に完成させた。

 

晨原教育長は「先人たちがこんなにつらい思いをして歴史を乗り越えてきたことを知ることで、島で生きることを誇りに思ってほしい」とコメント。県立奄美図書館の加峯(かぶ)美由紀館長は「多くの子どもたちや若い親世代、転勤で島外から来ている方々にも読んでほしい」と話した。

 

同書は横A4判、全30ページ。同館で展示・貸し出す予定。