イノシシ被害急増、対策研修会 徳之島
2019年12月19日
政治・行政
農作物のイノシシ被害が急増していることを受け、徳之島地域総合営農推進本部は17日、天城町防災センターでイノシシ被害対策研修会を開いた。徳之島3町の農業関係者ら約100人が出席。島内のイノシシ被害報告や県環境技術協会農学博士の塩谷克典氏の講演などを聞き、ほ場にイノシシを寄せ付けない対策と効果的な捕獲方法に理解を深めた。
県大島支庁農政普及課によると、2011年度から侵入防止柵の設置を進めた効果もあり、3町合計の農業被害額は12年度の約7千万円をピークに減少。近年は約1千万円前後で推移している。しかし、本年度は農家からの被害相談が多く、農作物被害軽減を目的としたイノシシの有害捕獲数は例年の400頭前後から500頭に増えている。
島内のイノシシによる農業被害は約9割がサトウキビ。南大島農業共済組合のさとうきび共済加入者の被害認定は9日現在、前年度比2・3倍の1447㌃に急増。特に島北部に被害が集中しているほか、海岸近くのほ場でも被害が見られ、山を下りたイノシシが人里で定着している可能性もあるとみられる。
塩谷氏は全国的に増加している鳥獣被害について「農作物は栄養価が高く、味を占めた個体はほ場侵入を繰り返す」と分析。被害防止策として、▽防止柵の整備・維持▽残さ処理の徹底による餌場化の解消▽農地周辺に定着した個体の捕獲―を提案した。
柵やネットなどの下からもぐり込んでほ場へ侵入するイノシシの習性を説明し、ほ場への侵入防止で設置されている金網柵や電気柵を紹介。個体数の減少には親イノシシの捕獲が不可欠なことから、箱わなを活用した捕獲を呼び掛けた。