ノネコ管理計画工程を改訂 25年度に大島全域へ捕獲範囲拡大 環境省

2023年11月01日

政治・行政

奄美大島の山中で捕獲され、譲渡認定者に引き取られた猫=2022年3月、奄美市名瀬

環境省と県、奄美大島5市町村が2018年に策定した野生化した猫(ノネコ)の管理計画について、環境省は31日までに計画の工程を示すロードマップの改訂を行った。森林域でのノネコ捕獲排除の全島展開が遅れていることを踏まえ、実施年度や優先順位などを一部変更。ノネコ捕獲の範囲を2025年度に奄美大島全域の森林域に広げ、26~27年度にノネコの個体数推定を実施する。

 

管理計画は希少な野生生物を襲うノネコを山から排除し、生態系を保全するのが目的。ノネコ捕獲が始まった18年からの総捕獲数は491匹。

 

ロードマップはノネコ捕獲のほか、ノネコの供給源となる野良猫・飼い猫の対策についても具体的な手順やスケジュールを示している。

 

進捗(しんちょく)状況の評価によると「希少種生息域(森林域)からのノネコの捕獲排除」はおおむね達成。「譲渡状況」は多くの個人・団体の協力で推進できているとした。「ノネコの発生源対策」は重点地区で数値目標を達成。引き続き適正飼養の普及啓発を行うとともに、市街地地区の評価指標の設定を検討する。「計画全体の評価・見直し」は「関係機関と連携しておおむねロードマップに沿って進められている」と評価した。

 

森林域で進めているノネコの捕獲排除は、全島展開の実施目標を21~22年度から24~26年度に変更。合わせて、大島全域の在来種モニタリングを25年度までに実施する。捕獲地域の優先順位は国立公園区域に次いで「現捕獲地域に隣接する地域で優先度を判断」とした。

 

25年度の全体目標は「奄美大島全域におけるノネコの捕獲展開、飼い猫の適正飼養の徹底、ノラネコの顕著な減少」。全体の評価と見直しの基準となるノネコの個体数推定を26~27年度に行う。

 

住民や愛護団体の協力もあり、これまでに捕獲したノネコの殺処分は行われていない。奄美群島国立管理事務所の釣谷洋輔離島希少種保全専門官は「今後も森林域からの猫の排除を進め、生態系の保全に努める。ノネコの新たな発生を抑えるためにも、猫の適正飼育をお願いしたい」と、地域住民へ理解と協力を呼び掛けた。