住宅不足、島外求人の壁に 人材確保・育成へ情報共有 大島地域推進協
2022年11月12日
政治・行政
県大島支庁主催の2022年度大島地域人財確保・育成推進協議会が11日、奄美市名瀬の大島支庁であった。オンライン参加者も交え、奄美群島12市町村や高校、各団体の代表が、群島内の雇用環境の課題と、その改善に向けた取り組みについて情報共有した。いずれの島でも各分野で人材確保が課題となっており、U・Iターン者など島外から働き手を呼ぼうにも、住宅不足が壁になっている現状などが改めて示された。
名瀬公共職業安定所から管内の雇用情勢の説明があった後、同支庁の担当者が地域での人材確保・育成に向けた県の取り組みを紹介。今年度は管内の中高生やその保護者、U・Iターン者らに向けた、奄美で働く人の就業スタイルなどを伝える動画を作成する。
地域の人材確保や育成の課題について出席者から「有効求人倍率は上昇しているが、現実には給与、職種、年齢などの条件が整わず、多くのミスマッチが生じている」「島内で求人募集をしてもほとんど応募がない」などの意見があった。
沖永良部島や与論島の出席者からは「住環境さえ整えば人は確保できると思う」「住宅が確保できずに移住を決断できないケースもしばしばある」との声も。「課題はどこも同じで『担い手不足』。業界、業種の垣根を越え、自治体や島全体で意識を共有して取り組まないといけない」といった意見も聞かれた。
各団体は「インターネットを活用して島外からの採用に力を入れており、求人募集は遊び、暮らし、働き方の三つの視点からアプローチしている」(えらぶ島づくり事業協同組合)、「今年度、旧教員住宅を活用し、中長期滞在型の『お試し移住ハウス』を整備している」(喜界町)などの取り組みも紹介した。
座長を務めた新川康枝大島支庁長は「世界自然遺産登録を契機に経済の活性化は図られつつあるが、人手不足による労働市場の需給バランスが取れていない課題もある。就職・就労定着の支援が求められており、今後とも市町村や関係機関と連携を密にして取り組んでいきたい」などと語った。