先島諸島の住民受け入れ要請 松野官房長官、塩田知事と面会 有事避難念頭に

2023年10月19日

政治・行政

 

先島諸島の避難住民の受け入れに関し、塩田康一知事に協力を求めた松野博一官房長官(左)=18日、鹿児島市の県庁

松野博一官房長官が18日、鹿児島市の県庁で塩田康一知事と面会し、台湾有事などを念頭に、沖縄県・先島諸島の住民ら約12万人が島外避難する際の受け入れに協力するよう要請した。県は今後、鹿児島空港や鹿児島港での受け入れシミュレーションを進める。今回の想定は沖縄本島や奄美群島の住民は島外避難しないことが前提。塩田知事は事態の悪化に伴い奄美住民の避難も必要となった場合の対応について「(受け入れる)キャパシティーとして十分なのか再度検討する必要がある」との認識を示した。

 

政府は「武力攻撃予測事態」に備え住民避難に関する計画の策定に取り組む方針を示しており、有事が懸念される場合などの先島諸島の避難住民は九州各県で受け入れる想定だ。松野氏は17日に熊本県を訪れ、同県の蒲島郁夫知事にも協力を求めた。

 

塩田知事との面会は冒頭あいさつを除き非公開。松野氏は面会後の報道陣の取材に「沖縄県をはじめとする南西地域における住民避難の検討については、万一の際の避難先として九州各県の役割が非常に大きい」と強調し、先島諸島からの避難住民の受け入れ計画は「関係自治体の意向や検討状況を踏まえ、2024年度中に初期的計画を作成することを目指す」とした。

 

塩田知事は「先島諸島からの避難となると船舶、航空機での避難となり、地理的に鹿児島が一番近い。シミュレーションについては国、関係機関と連携しながら検討を進めたい」と述べた。

 

松野氏や塩田知事の説明によると、現時点の想定で先島諸島の住民らの島外避難には6日程度かかる。1日当たり鹿児島と福岡でそれぞれ1万人ずつ受け入れ、鹿児島では1万人のうち6千人を航空機、4千人を船舶で輸送する。鹿児島が受け入れた1万人はその後、熊本など九州各県の受け入れ先に避難する。

 

松野氏は18日、鹿児島市の鹿児島港(中央港区マリンポートかごしま)も視察した。