再推薦、登録へ期待と注文 「官民挙げた取り組みを」 世界自然遺産
2019年02月02日
政治・行政
「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録へ向けて、政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書を提出した1日、地元関係者からは実現に向けた期待の声が上がった。昨年の登録延期、推薦取り下げを経ての再挑戦へ、「課題への取り組みはまだまだ。官民挙げての協力体制が必要」と奮起を促す指摘もあった。
徳之島で自然保護の普及啓発活動に取り組むNPO法人「徳之島虹の会」の美延睦美事務局長(55)は「登録に向けて階段を一段ずつ上がっているのを実感している」と喜ぶ。一方、登録延期を勧告したユネスコの諮問機関・国際自然保護連合(IUCN)の再度の現地調査に向けて「今度こそ登録されるように、観光管理や外来種対策など示された課題に住民が率先して取り組むべき」と呼び掛けた。
観光客の増加など、自然遺産登録による経済波及効果への期待も高まる。奄美大島商工会議所の谷芳成会頭(79)は「登録により、地域経済の活性化を実現したい。外国人観光客も増えるだろう。早急な受け入れ体制整備に努める。電子マネーやキャッシュレス化に力を入れたい」と話した。
徳之島観光連盟の重田勝也会長(46)は「推薦書が提出されたことをうれしく思う。残された課題をどういう過程で解決していくかが大事。登録の可否が決まる1年半後がゴールではなく、スタートとして迎えるよう、準備を進めていかなければいけない」と力を込めた。
奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島浩介会長(68)は「遺産としての価値は誰もが認めるところ。しっかり守って後世へ伝えていかないといけない」と気を引き締める。「環境省は頑張ってくれている。奄美の自然に脅威を及ぼす外来種は排除する必要がある。島の財産を守りながらどう利用するか。協力は惜しまないし、独自の取り組みも進めたい」と意欲を示した。
環境省は推薦書の再提出に向けて有識者で構成する科学委員会との協議を重ねた。委員の一人、東京大学医科学研究所の服部正策特任研究員(65)は「次はうまくいくことを期待している。(IUCNが)指摘したことをクリアしつつ、これまで人が利用しながら維持してきた奄美の面白さはなくさないでほしい」と述べた。