奄美市で常時測定開始 九州防衛局、騒音実態把握へ 低空飛行目撃情報を受け

2023年06月08日

政治・行政

知名瀬保健福祉館の屋上に設置された九州防衛局の航空機騒音自動測定装置=5日、奄美市名瀬知名瀬

防衛省九州防衛局(福岡市博多区)は今年3月、奄美市名瀬知名瀬の知名瀬保健福祉館の屋上に、航空機による騒音の自動測定装置を設置した。管轄内で基地周辺以外に設置されるのは初めてで、同局が住民からの目撃情報を基に整備。このほど4月分の測定結果をホームページで公表し、70デシベル以上の騒音は7日間で14回、最大値は80・9デシベル(航空機の機内程度)だった。同局は「地元住民から寄せられた意見や、県、市からの要請もあり、防衛省として米軍機の飛行実態の把握に努めるとの観点から測定を開始した」と説明。設置期間は「当面の間」としている。

 

名瀬市街地上空を飛ぶオスプレイとみられる機体=4月4日午後4時55分ごろ、奄美市名瀬

奄美市防災危機管理室によると、昨年、九州防衛局から「目撃情報が多く寄せられている地区で、その中でもなるべく静かに測定できる場所」について問い合わせがあり、同館屋上に設置が決まった。

 

測定装置は目測で高さ約4メートルで、4月1日から稼働している。測定は常時自動で行われ、同局は70デシベル以上の騒音の発生回数を公表している。4月は5、8、9、11、25、26、27日に計14回の騒音を記録。時間別では午前7時~午後7時までに9回、午後7時~同10時までに5回だった。4月27日には1日で5回の騒音を記録。同局は「測定された騒音のみでは米軍機かどうか特定することはできないが、引き続き測定を行う必要があると考えている」とした。

 

知名瀬地区で町内会長を務める豊島勇蔵さん(65)は、2022年10月7日に奄美市から設置連絡を受け、今年3月に地区広報紙で住民に周知。豊島さんによると、同地区ではオスプレイやC130型輸送機とみられる機体が頻繁に目撃されている。時期によってばらつきがあり、今年3月ごろからは頻度が減っているように感じるという。

 

豊島さんは「飛行経路は二つ。金作原原生林のある高さ200メートルほどの山側から飛来し、高度を下げ地区上空を通過し大浜方面へ抜けていく場合と、その逆ルートを通る場合がある。多くが2機編成。上空通過時は機体の腹面がはっきり見え、会話が聞こえなくなる程度の騒音が30秒~1分ほど続く」と話す一方、「(住民は)騒音に慣れたのか当たり前のことになってしまい、今では誰も話題にしない」と地区の現状を語った。

 

県危機管理防災局によると、奄美群島から寄せられた低空飛行目撃件数は20年度98件(奄美市90件)、21年度50件(同46件)、22年度27件(同27件)で推移している。

 

九州防衛局はホームページ(https://www.mod.go.jp/rdb/kyushu)で月に一度、測定結果を公表するとしている。