抜港、物流コスト対策訴え 与論で知事とのふれあい対話
2023年02月05日
政治・行政
塩田康一知事と県民が意見交換する「知事とのふれあい対話」が4日、与論町地域福祉センターであった。町内の農家や観光関係者、水産業者などから推薦5人、公募10人の計15人が発表。人流・物流に直結する抜港や本土、奄美群島の他の島と比較しても割高な物流コスト、移住・定住に向けた住宅整備の現状など訴え、課題解決を求めた。
ふれあい対話は2020年10月の徳之島3町を皮切りに県内各地で開催している。5人1組が一度に発言し、塩田知事がまとめて回答する形式で進行した。
抜港対策は多くの登壇者が「島外から帰島する際に抜港したため余計な宿泊費がかかったり、抜港の不安から航空路を利用したりするなど、金や時間を浪費した」「受注した備品が納期に間に合わず死活問題」「発送が遅れ、農林水産物が駄目になった」などの例を挙げ、「抜港は離島民の苦しみ。1日も早い港湾整備を」と求めた。
港湾整備について塩田知事は「どこに港を整備するかなど技術的な課題、静穏度を確保できるような堤防を建設できるかなどを含め現在検討中」と述べた。抜港対策については「生活に影響が出ないようにするため、食品備蓄や農林水産物の鮮度を保持する施設なども、地元自治体と検討している」と回答した。
小売店を経営する男性から「鹿児島本土から一番遠い与論島が一番輸送費を負担しないといけない」と物流コストの改善を求める意見があった。塩田知事は「奄美群島振興開発特別措置法(奄振法)の中で一定の輸送コスト支援もあるが、一部にとどまっている。離島で生活する上で、輸送費は避けて通れない話。予算の割り振りの問題はあるが、今後検討すべき課題だ」と理解を示した。
移住・定住促進対策では、県営住宅の整備を求める意見も多数上がった。塩田知事は「新規の県営住宅は難しいが、市町村が行う空き家改修に対する支援制度はある。地域の実情に応じて対応していきたい」と述べた。
このほか、県ドクターヘリの運用を補完する多目的ヘリの導入や畜産振興のため県農業普及指導員の常駐、若者を対象とした人材育成プロジェクトの実施などを求める意見があった。