町民負担に懸念の声 ゼロカーボンシティ説明会始まる 景観や自然への影響に不安視も和泊町
2023年10月15日
政治・行政
和泊町のゼロカーボンシティ町民説明会が12、13の両日、大城小、和泊小両校区住民を対象にそれぞれあった。大城小校区では約20人、和泊小校区では約30人が参加。2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指すための町の取り組みや知名町との脱炭素先行地域事業について説明し、町民の質問や意見を聞いた。町民からは事業内容に対する質問のほか、町民負担や生活の変化、太陽光パネル設置に伴う景観や自然への影響を不安視する声などがあった。説明会は17日までに残り2校区で行う。
同事業の町内全域を対象とした説明会は初めて。初日は前登志朗町長が「本町が目指しているのは持続可能な島を未来の子どもたちに残すことで、脱炭素社会の推進はその手段の一つ。沖永良部島モデルが世界をけん引する大きなチャンスだと考えている。理解をいただきながら事業を着実に前進させていきたい」とあいさつ。町企画課脱炭素推進室職員が詳細を説明した。
町の脱炭素化に向けた地域再エネ導入戦略によると、50年に町の電気を100%地域の再生可能エネルギー(再エネ)で賄うためには、6・9MW(メガワット)の再エネ導入が必要と算定。目標達成に向けた町民の取り組み施策として、食品ロスや生ごみの減量、クール・ビズなど環境に配慮したライフスタイルの実践、省エネ型の照明や家電への交換、太陽光発電の導入、省エネ性能の高い住宅への転換など環境に配慮した住まいづくりなどを挙げた。
質疑応答では、今後出てくる町民負担や影響について質問があり、町当局は「役場、小中学校など公共施設群に再エネを導入し、既存電力会社の出力に影響がないことを確認した上で全島に展開する。将来的には各家庭への再エネ導入が必要となってくるかと思うので、その際は導入に対する助成など検討していき、なるべく町民の負担が少ない形で進めたい」などと答えた。
「緑を生かせないか」「太陽光パネルできれいな島が埋め尽くされるのは悲しい」などの意見に町当局は、再エネ導入や自然を残す地域を区分けするゾーニングの実施、各国で取り組まれている二酸化炭素などの温室効果ガスに価格をつけるカーボンプライシングを紹介。「二酸化炭素を吸収する部分、緑を残すということもわれわれの大きな使命と考えている」と強調した。
町では全校区での説明会終了後に、説明会で配られた資料や町民から質問があった専門用語の解説資料を公式ホームページなどで公開する予定。