異例の静かな選挙戦 与論町議選

2020年08月26日

政治・行政

選挙用はがきを郵便局員に預ける候補者(左)=25日、与論町茶花

選挙用はがきを郵便局員に預ける候補者(左)=25日、与論町茶花

 任期満了に伴う与論町議会議員選挙は25日に告示され、定数10に13人が立候補した。与論島では先月21日以降、新型コロナウイルスへの感染者が計55人確認され、感染症への住民の警戒心が高まっている。現職9人は人の密集を避けるため、事前の申し合わせで街宣車を使った遊説を自粛。選挙はがきやポスター掲示、電話掛けなどが主な活動で、大半の候補者が街頭に姿を見せない異例かつ静かな選挙戦となっている。

 

 現職の一人は午前8時半から町役場であった立候補の届け出を済ませた後、町内の郵便局へ直行。自身の政策、信条などを記した選挙はがき800枚を郵送した。

 

 「コロナ禍に適した新しい生活様式の実践など町民が感染症対策に取り組む中、選挙と言えど現職の議員が配慮に欠ける行動はできない。今回の対応は町民目線に立って検討した結果と理解してほしい」などと話した。

 

 選挙用はがきを今回初めて準備した現職は「町政への思いや政策をしっかり書き込めるので、はがきも案外いいね」。別の現職は「選挙が終わるまで外出は最低限に控えるつもり。家でじっとしているだけなのは落ち着かないが、自分たちで決めたこと。後はなるようにしかならない」と腹をくくっていた。

 

 一方、新人2人と元職の3陣営は街宣車を使って町内を遊説した。ある新人はマスクと白の手袋着用で運動を展開。消毒液も常備するなど、感染症対策に気を配りながら有権者に支持を訴えた。

 

 「現職とは立場が違う。感染症対策をしながら、新人として町民の皆さんにしっかり立候補のあいさつをしたい」とし、「人によってコロナへの警戒感にも差がある。有権者にあまり不快感を与えないよう気を付けたいが、握手は積極的にすべきか、控えめがいいかなど手探りの面もある」とも語った。

 

 同町の農業男性(60代)は「町議選で初日がこんなに静かなのは初めて。候補者それぞれの考えで、責任を持って選挙をしてくれればそれでいい。島は今、大変な状況。選挙をどうやったかよりも大事なのは当選した後、何をしてくれるか」と話した。