空き家は私財で公共財 専門家「早期対応が重要」 奄美市で対策イベント

2022年11月13日

政治・行政

空き家所有者らを対象に開かれた空き家対策や居住支援に関するイベント=12日、奄美市名瀬

奄美市と県住宅リフォーム推進協議会共催の空き家対策・居住支援イベント「まーじん考えろでぃ!空き家と地域の住生活」が12日、奄美市名瀬の同市役所であった。市内の空き家所有者や相続人、民生委員ら64人が参加。大牟田市居住支援協議会(福岡県)の牧嶋誠吾事務局長が講演し、空き家は増加すると地域の安全性の低下やコミュニティーの崩壊を招く半面、活用次第では地域活性化にも役立つと説明。「空き家は私財であり公共財でもある」と述べ、空き家対策への理解を求めた。

 

イベントは市内の空き家所有者や相続人らに対し、空き家放置の問題点と、居住支援としての活用事例、関連する各種制度などを伝えることで、新たな空き家の抑制や活用につなげようと初めて開いた。

 

牧嶋事務局長は、自身が活動する大牟田市での空き家実態調査と居住支援の取り組み事例を基に、空き家所有者が抱えるリスクや問題点などを説明。

 

具体的には「住んでいた人が亡くなった後、相続人が『3回忌や7回忌までそのままに』とか、『元気なうちは管理しよう』と言っている間に家が老朽化する。資産価値がなくなり、売りたいが売れない」「解体したくてもお金がないといった事態に陥りやすい」などと指摘し、可能な限り早い対応が重要と強調した。

 

市職員らが空き家バンクや「危険空き家等除去助成金」など各種制度を紹介。イベント後半は弁護士、税理士、司法書士、不動産業者、社会福祉協議会、市の空き家バンク担当課などがブースを設け、空き家に関する相談に応じた。

 

参加した同市名瀬の女性は「空き家に関して特殊な悩みを抱えており、相談先を見つけたくて参加した。維持、管理にもお金がかかって困っている。何とか解決したい」と話していた。