自然遺産関連に2.3億円 県予算案 効果波及、価値保全へ
2022年02月11日
政治・行政
県は10日、2022年度当初予算案を発表した。奄美関係では昨年夏に実現した奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録の効果波及や遺産価値の保全に向けた予算として、総額約2億3800万円を計上。奄美群島振興交付金を活用した「航路・航空路運賃軽減事業」や「奄美群島農林水産物等輸送コスト支援事業」なども継続する。18日開会の県議会3月定例会に提案する。
世界自然遺産登録の効果波及、遺産価値の保全は▽屋久島・奄美世界自然遺産管理運営推進▽奄美世界自然遺産保全・活用推進▽奄美群島誘客・周遊促進▽ほこらしゃ奄美音楽祭開催―など。
奄美世界自然遺産保全・活用推進事業では、遺産登録1周年を記念したシンポジウムを奄美大島、徳之島で開催。有識者の講演などを行い、遺産価値の普及啓発を図る。希少動物のロードキル対策としてモニタリング調査も実施。対象種や場所など調査内容については、環境省での協議を踏まえて決定する。
屋久島・奄美世界自然遺産管理運営推進事業は、遺産価値の維持を図るため世界自然遺産都道府県会議へ参画するほか、奄美大島の遺産核心地域にある県有地約1300㌶のパトロールを行う。遺産核心地域内の希少動植物調査を含む「未来へつなごう鹿児島の生物多様性推進事業」も盛り込んだ。
奄美群島誘客・周遊促進事業は、民間の航空会社や船会社と連携し、旅行商品造成や現地から動画配信をして旅行気分を味わうオンライントリップなどを通じてプロモーションを実施する。ほこらしゃ奄美音楽祭は奄美独自の文化である島唄の魅力を発信することで、奄美の自然や文化に対する理解を深めることが目的。奄美大島で開催し、島内の唄者らが出演する。
奄美群島の住民や出身者らを対象に移動コストの負担軽減を図る「航空・航路運賃軽減事業」に総額10億9085万円、農林水産物等輸送コスト支援事業に6億9681万円をそれぞれ盛り込んだ。地元自治体の裁量に基づく産業振興などの取り組みを支援する奄美群島成長戦略推進交付金には9億8473万円を計上した。
離島における電気自動車等購入支援事業は新規。災害などの停電時における電力供給も可能な電気自動車の購入支援として、個人1台、法人2台を上限に、1台20万円を助成する。
道路整備関係では、国道58号線おがみ山バイパス事業の再開に向け、前年度に続き家屋の移転補償費の算定作業と用地買収を進める。
空港整備では徳之島空港の滑走路端安全区域の拡張と喜界空港の滑走路舗装工事を継続。港湾整備では亀徳港の防波堤整備を引き続き進めるほか、名瀬港本港地区内の県有地で緑化整備を行う。