アラセツ前日に「ツカリ」 先祖の神に感謝の気持ち込め 龍郷町秋名
2018年09月11日
地域
旧暦8月最初の丙(ひのえ)に当たる11日はアラセツ(新節)の祭り日。龍郷町秋名・幾里では、国指定重要無形民俗文化財「秋名アラセツ行事(ショチョガマ、平瀬マンカイ)」がある。アラセツの前日は「ツカリ」といわれ、10日は地域住民が自宅の縁側にごちそうを供えてコウソガナシ(先祖の神)を祭った。
秋名のアラセツ行事は五穀豊穣(ほうじょう)を願う稲作儀礼。かつてはツカリの晩に集落の家々を一軒ずつ踊り回り、翌朝にショチョガマ(片屋根のわらぶき小屋)に集まったとされる。現在は高齢化などにより、ツカリの日にごちそうを供える家庭は減りつつあるという。
秋名の肥後サツさん(91)宅ではツカリの風習を代々受け継いでいる。長女、田原紀美子さん(68)=奄美市住用町=らと今年も赤飯やミキ、果物、野菜の煮物、ジヌユ(地魚)といった豪華な膳を用意した。
サツさんは10日夕、家内安全などを願って手を合わせた後、「先祖に感謝の気持ちを込めた。大切な風習をこれからも守っていきたい」と話した。