中甫洞穴(知名町)、県文化財指定史跡へ
2018年03月23日
地域
県文化財保護審議会(原口泉会長)は20日、新たに県指定文化財8件を県教育委員会に答申した。奄美関係では知名町久志検の「中甫(なかふ)洞穴」1件が含まれた。いずれも県教委で議決後、4月下旬ごろ正式に告示される見通し。
中甫洞穴は島の中央部、標高約100メートルの久志検水窪に所在する史跡。奄美群島における最古級の土器「爪形文土器」が発見されたのを機に、1980年代に3度の発掘調査が行われた。
縄文・弥生時代を中心に多くの資料が発掘されている。先史時代の居住形態、九州と南島の交流、狩猟・採集生活の様子、埋葬形態など多くのことを現在に伝える貴重な遺跡だ。
県指定文化財への答申について知名町の豊島実文教育長は「中甫洞穴の文化財的な価値が県でも認められたことは大変うれしい。これを機に遺跡が広く知られ、活用が広がっていくことを期待したい」と話した。
久志検集落の大山初男区長(61)は「町指定から県指定に『格上げ』されたことは喜ばしい。近年沖永良部島が注目されて観光客なども増えていく中、価値のある遺跡を大事にし、集落でしっかりと管理していきたい」と語った。
中甫洞穴のほか、▽旧東郷医院(建造物・志布志市)▽久保観音堂の木像ぼさつ(彫刻・指宿市)▽里八幡神社の大般若波羅密多経(書籍典籍・薩摩川内市)▽町田堀遺跡出土品(考古資料・霧島市)▽本城花尾神社春祭り(無形民俗文化財・鹿児島市)▽根占原台場跡(史跡・南大隅町)▽南九州市川辺町中山田のオキチモズク(天然記念物・南九州市)―答申された。
8件が決定すると県指定文化財は300件となる。