切り花生産者ら悲鳴 盆前出荷かなわず 沖永良部島 台風6号影響

2023年08月11日

地域

定期船の長期欠航で冷蔵庫に山積みになった出荷前の切り花=10日、沖永良部島の沖永良部花き専門農協

台風6号の影響で定期船の長期欠航が続いている沖永良部島では、盆用の切り花出荷ができず、生産者をはじめ関係者が悲鳴を上げている。沖永良部花き専門農業協同組合の冷蔵庫にはスプレーギクを中心に出荷を待つ切り花が山積みになり、廃棄処分となった切り花もある。

 

同農協によると、例年この時期は月遅れ盆前で、仏壇に供える切り花出荷のピーク。主力品のスプレーギクを中心に九州から東北まで全国各地の市場に出荷している。

 

今年は台風6号の接近、迷走で、7月29日を最後に8月10日まで12日間、出荷がストップした。11日には入港する貨物船に積載できることになり、同日はスプレーギク、ソリダゴ計約35万本を出荷予定。各地の市場に届くのは早くて14日だという。

 

10日、同農協は11日に出荷する切り花の準備作業に追われていた。作業をしていた泉義仁参事は「『秀品』から『優品』に規格を下げての出荷になる。もともとの優品は生産者が持ち帰り、廃棄している状況。出荷する切り花とは別に、冷蔵庫には約1250ケース分(約30万本)の切り花が出荷を待っている。生産者が順調に生産し、注文も来ているのに、その先の輸送ができない。花を持って来る生産者の顔を見るのもつらい」と話した。

 

今回の事態を踏まえ、同農協では9日、県に対し、切り花が出荷できない状態が長期間続いた場合、「災害対応として自衛隊機を派遣してほしい」などとする要望書を提出した。

 

同農協組合長でスプレーギク生産者の三島生康さん(64)は「こんなに長く定期船が欠航したのは初めて。これから出荷しても需要は少ない。一番の稼ぎ時に出荷ができないということ」と悔しさをにじませ、「生産者にとってこれは災害。自衛隊機の派遣で来島時は不足している食料を届け、帰りに切り花を載せることができるのではないか。可能になれば、離島のハンディが和らぐ」と訴えた。