奄美の自然遺産永遠に 世界自然遺産セミナーin奄美大島
2019年02月18日
地域
世界自然遺産セミナーin奄美大島(県主催)は17日、瀬戸内町きゅら島交流館であった。専門家が奄美の生物多様性の価値や外来種問題の実情について講演。「奄美の自然を世界自然遺産登録まで残すのではなく、永遠に残すことが大事」などと訴えた。
セミナーは奄美・沖縄の2020年の世界自然遺産登録を目指し、地域の機運醸成と遺産の保全・活用への理解を深めることが目的。10日に天城町でも開催した。子どもから高齢者まで約120人が来場し、熱心に耳を傾けた。
北海道大学大学院教授の髙木昌興さんが「奄美群島の野鳥を科学的に楽しもう」、国立森林総合研究所主任研究員の亘悠哉さんが「奄美の森で起きている外来種問題」について講演した。
髙木さんは南西諸島が固有種の宝庫として、ルリカケスやアカヒゲなどの生物進化を解説。「奄美は自然の実験室。楽しむことで世界遺産登録の意義を理解することになるのでは」と語った。
亘さんは、奄美大島ではマングースバスターズの活躍などで外来種のマングースが根絶の最終ステージにあるとし、「複数の希少種が大幅に増加している。この状態を永遠に担保するために根絶が必要」と強調した。
さらに、野生化した猫(ノネコ)による希少種の捕食が今も確認されている現状に触れ、「世界自然遺産登録が目的ではない。登録後も積み残しの課題に行政、住民が主体的に取り組むことが大切」と力を込めた。
セミナーでは古仁屋中学校吹奏楽部がオープニング演奏で会場を盛り上げたほか、講演の後は奄美のアーティストによる「唄島プロジェクト」ミニコンサートがあった。