脅威過ぎ去り、住民安堵 農作物への影響脅懸念 台風14号

2022年09月19日

地域

強風で倒伏したサトウキビ=18日午後4時ごろ、奄美市笠利町

「予想より被害が少なくほっとした」「この程度で済んでよかった」│。猛烈な勢力に発達し、17日から18日にかけて奄美地方に最接近した台風14号。住民からは台風の脅威が過ぎ去ったことへの安堵(あんど)の声が聞かれた。各自治体が開設した避難所には一時500人余りが避難したが、18日午後5時までに全員帰宅した。一方、19日以降も海上のしけが続く見込みで、交通や物流の混乱を不安視する声も。台風が最も接近した喜界島と奄美大島北部では農作物の倒伏も見られ、今後の影響が懸念される。

 

喜界島では昼ごろから風が弱まり、車で周囲の被害状況を確認する人や、後片付けに追われる住民の姿が見られた。自宅近くで飛散した草木の掃除をしていた湯浅載一さん(68)=喜界町湾=は「予想より発達してどうなることかと思った。台風が直撃する屋久島や鹿児島県本土のことは人ごとではない」と話した。

 

奄美市笠利町にある奄美空港は17日に引き続き、18日も閉鎖。周辺に広がるサトウキビ畑では、強風で根本から倒れたサトウキビも多く見られた。県道601号線の脇道では、強風の影響で折れたと見られるカーブミラーが倒れたままになっていた。

 

大和村大金久集落の沿岸道路では時折高い波が押し寄せ、堤防を越えることもあった。車庫で作業をしていた60代男性は「台風は通過したが、海がしけているのでしばらくは警戒が必要だ」と語った。

 

瀬戸内町阿木名の碩悟さん(72)は「停電もなくこの程度の風で済んでよかった」と胸をなで下した一方、「農園のキュウリやカボチャはもう駄目かもしれない」と不安をのぞかせた。

 

奄美関係の交通機関は18日も乱れ、海と空の便はすべて欠航。しまバス運営の路線バスも終日運休となった。

 

19日も海の便は全便欠航。空の便は航空各社とも奄美│鹿児島を結ぶ便を中心に欠航や運航取りやめの可能性があるとしており、午後は関西方面を結ぶ便にも影響がおよぶ見通し。路線バスは定時運行を再開する予定。