民間ダイバーが海中ごみ回収 龍郷町
2020年06月13日
地域
新型コロナウイルスの影響で観光客の来島自粛が続く中、龍郷町で民間事業者による海中ごみ回収や外来植物調査などの取り組みが進んでいる。町の緊急雇用対策の一環。12日はダイビング業者ら7人が龍郷漁港で作業し、海底の漁具やタイヤなどを引き揚げた。ダイバーたちは「この機会に地元の海を隅々まできれいにしよう」と連日汗を流している。
新型コロナウイルスの全国的な感染拡大を受け、町内のダイビングショップ9社は協議の上、4~5月の間自主的に休業することを決めた。ゴールデンウイークは書き入れ時だが、島内の医療機関の規模や住民の不安を考慮した。
海中ごみ回収の旗振り役は、中勝出身で仲間から「トメさん」と慕われる中田留弘さん(60)。町内のダイビング業者へ呼び掛けたところ、「今できることをやろう。コロナ収束後には気持ちよくお客さんを迎えよう」と多くのダイバーが賛同した。
龍郷町は新型コロナウイルス関連の緊急雇用対策として、休業・失業者を町で一定期間雇用する取り組みを行っている。休業中のボランティアとして海岸と海中の清掃を行ったところ、町から海中ごみ回収委託の打診があった。
鹿児島県は4月24日、県内98業種へ休業要請を行ったが、ダイビングショップなどは「3密に当たらない」として対象に含まれなかった。町の事業は時給にすると千円程度で海中作業の相場としては低いが、中田さんは「独自で支援策を立てた町の気持ちに応えたい」と評価した。
作業は平日の午前9時から午後4時まで、漁港や船着き場を中心に行う。集めたごみは可燃、不燃に仕分け、町がレンタルした2㌧・3㌧トラックで処理場へ運ぶ。浮きや網などの漁具のほか、タイヤ、家電、ペットボトルなど2、3回の作業でトラックが満杯になるという。
12日は男女7人が参加。海中でごみを1カ所に集めた後、海と陸に分かれて手際よく回収した。大きなごみはロープを結んで4、5人掛かりで引き揚げた。
参加者からは「何もせず待つよりも仕事があった方がいい」「この機会に町内の海を一気にきれいにしたい」という声のほか、「不法投棄と思われるごみが多い。住民の意識も変わってくれれば」という意見もあった。