津代古戦場跡で慰霊祭 奄美市笠利町手花部

2022年04月04日

地域

古戦場跡のサンゴ石の前で焼香し、手を合わせる参列者ら=3日、奄美市笠利町

1609(慶長14)年に薩摩軍が奄美・琉球侵攻のため上陸し、島民との戦闘があったとされる奄美市笠利町手花部の津代古戦場跡で3日、戦没者の慰霊祭があった。主催した「三七(みな)の会」の会員をはじめ20人余りが参列。戦闘で犠牲になったとされる先人の霊を慰め、奄美の歴史に思いをはせた。

 

三七の会は薩摩軍が津代に到着したとされる旧暦3月7日の日付にちなんで命名。1997年に有志で設立し、毎年旧暦3月7日前後に同古戦場跡を訪ね、慰霊を続けている。

 

この日はあいにくの雨模様となったが、参加者は雨でぬかるんだ山道を慎重に歩き、古戦場跡へと向かった。墓石として並べられたサンゴ石の前にソテツの葉やキク、ユリの花などをささげた後、それぞれ焼香し、手を合わせた。

 

三七の会の森本眞一郎さん(71)は「世界自然遺産にも登録され、奄美の自然や島唄などの文化がもてはやされる一方、肝心の歴史の部分が置き去りにされていないか」と指摘。

 

その上で「慰霊祭は奄美の歴史にもしっかりと目を向け、それを絶やしてはいけないとの思いで毎年続けている。雨の中、初参加を含め、多くの人に参列してもらえた」と感謝した。