生ごみ資源化実証始まる 知名町の酔庵塾 脱炭素へ可燃ガス、肥料生成

2022年12月27日

地域

石田塾長(右)の説明を受け、生ごみを投入するホームかがやきの職員=11月30日、知名町(提供写真)

沖永良部島で持続可能な島づくりを目指し活動している酔庵塾(石田秀輝塾長)はこのほど、知名町と同町の小規模多機能型居宅介護事業所「ホームかがやき」の協力を得て、生ごみを資源化するバイオガス生成装置の実証事業を始めた。沖永良部島2町で取り組む脱炭素推進の観点から、同島で初めて設置した。

 

生ごみを発酵させ、可燃性のバイオガスと液体肥料を生成させる装置で、バイオガスは調理用ガスに変えて加熱や給湯に、液肥は畑の肥料などに利用できる。

 

同事業所では裏庭に設置。11月30日にはお披露目会があり、石田塾長が職員らに装置の使い方など実演を交えて説明した。事業所代表の末川大喜さん(39)によると、同日以降、事業所側が毎日約1㌔の生ごみを入れ、酔庵塾がデータ収集や装置管理を行っている。

 

石田塾長と末川さんによると、約3週間後の22日現在、気温が低い影響でガスの発生量は少ないが、液肥は20㍑のタンクが2回満杯となり、家庭菜園にまいたという。

 

末川さんは「装置を設置したことで職員の意識が変わった。食べ残しが減り、野菜の皮などを料理に活用することで生ごみが少なくなっている。介護の仕事をしながら、町の脱炭素の取り組みに関われることもいい経験。介護の魅力の再認識にもつながれば」と期待を込めた。

 

実証期間は2023年10月までを予定。酔庵塾では実証を経て今後も島内での装置導入を進めたい考えで、石田塾長は「ただのごみ処理場ではなく、お年寄りがごみを持って集まり、話ができ、元気になれるコミュニティーステーションづくりの実証も狙い。液肥を使うことで有機農業推進のサンプルにもなれば」と話した。

設置されたバイオガス生成装置