県内低空飛行131件目撃 21年度、最多水準
2022年05月03日
政治・行政
県危機管理防災局は2日までに、2021年度の県内での低空飛行等目撃情報をまとめた。21年度は131件で、前年度の137件に次いで過去2番目に多かった。同局は、昨年4~12月の102件のうち86件は「米軍機の可能性がある」と指摘。県本土での目撃情報が増えた一方、奄美市は45件で前年度の90件から半減しており、市民団体は「島民が低空飛行に慣れてきたのでは」と懸念ものぞかせた。
県危機管理防災局によると、住民や自治体から寄せられた目撃情報は県内の空港事務所や自衛隊施設に照会し、確認が取れない場合、九州防衛局を通じて在日米軍に照会している。九州防衛局側の回答は「米軍機の可能性がある」にとどまり、その機種や目的、飛行ルートなどは分からない。
目撃情報は06年度の統計開始以降、15年度にかけて40件未満で推移した後、16年度86件、20年度137件と急激に増えた。米軍機の可能性がある目撃機の割合は06~20年度の累計で8割ほど。目撃情報過去最多の20年度は9割以上を占めた。
21年度の目撃情報131件の市町村内訳をみると、最多は奄美市の45件。次いで日置市27件、鹿児島市21件、鹿屋市19件が多く、県本土での目撃情報が増えた。このほか奄美群島内は龍郷町3件、大和村、伊仙町各1件だった。
奄美市危機管理室によると、目撃情報は名瀬市街地西部の下方地区で多く、午後1~3時帯が目立つ。担当者は「(20年度からは)減っている印象。ただ飛行頻度は断続的で、夜間にごう音が聞こえることもある」と現状を認識している。
同市の市民団体「戦争のための自衛隊配備に反対する奄美ネット」の城村典文代表(69)は「45件は『少なくとも』と捉えている。島民が低空飛行に慣れ、目撃情報を行政に報告しなくなっている側面もあると思う」と指摘した。
目撃情報の多い同市では昨年、九州防衛局が米軍機の飛行実態調査を実施。市側は引き続き防衛局、県などと連携する考えを示した。県危機管理防災局危機管理課は「県民の安全安心な生活に影響を及ぼさないよう、国にも十分な配慮を要請していく」としている。