県知事選候補の顔見えず 来島なく、有権者の思い複雑 奄美群島内の3島

2024年07月03日

地域

候補者が一度も入っていない沖永良部島の街中にある知事選のポスター掲示板=2日、和泊町

鹿児島県知事選は投票日まで残り4日となった。元自民県議で新人の米丸麻希子氏(49)、市民団体共同代表で新人の樋之口里花氏(52)、現職の塩田康一氏(58)=いずれも無所属、届け出順=の3人が立候補しているが、選挙区が南北600キロと広いこともあってか、候補の顔が見えない地域も。奄美群島の喜界、沖永良部、与論の3島でも6月20日の告示以降、各候補は一度も現地に入らず、今後も来島の予定はない。島の有権者からは、地域の現状を感じてほしいとの要望に加え、県政との距離感や顔の見えない候補に対する複雑な思いが聞かれた。

 

3候補が告示後に現地入りした奄美大島の東約70キロにある喜界島。島民からは「(奄美大島の)ついででもいいから、少しの時間でも立ち寄ってくれればいいのに」などの声も。

 

喜界町観光物産協会事務局長の田邉大智さん(40)は「飛行機の減便や空路経由地の利便性の悪さ、運賃コストなど、離島経済の要となる空路や海路の課題について、生活者目線での具体的な政策を聞きたかった」と、地域の現状への目配りを求めた。

 

沖永良部島では、県との距離感に複雑な心境を明かす有権者もいる。知名町の商業女性(70代)は「県は正直遠い存在」と吐露。「深く考えた事がなく、候補者についても知らないから選びようがない。直接の声が聞ければまた違うと思うが」と、候補の現地入りがないことを残念がった。

 

和泊町の農業男性(50代)は「離島にも目を向けてほしい」と話し、本土とは異なる離島の環境や現状に理解を示してくれるよう、各候補に注文。「(新知事には)船便がしょっちゅう欠航する事について、離島のハンディをなくすような政策を望む」と訴えた。

 

県本土から最も遠い与論島で子育て中の女性(30代)は「県最南端の島だし、県知事選といってもピンと来ない。ただ、候補者に女性が2人いるということで応援したい気持ちはある。(県政について)気になっているのは、子ども医療費について鹿児島県だけ窓口負担が無料化されていないこと」と語った。