こども・かいご福祉学科の募集停止 学校存続のため危機感共有を 奄美看護福祉専門学校
2025年05月17日
地域

2学科のうち1学科の募集停止が決まった奄美看護福祉専門学校=16日、奄美市名瀬小湊
奄美看護福祉専門学校(向井奉文校長)=奄美市名瀬小湊=のこども・かいご福祉学科が今年度から学生の募集を停止していることがこのほど分かった。少子化による志願者減少などが主な要因。開校30周年の節目に迎えた苦境に同校関係者は「学校自体の存続についても楽観できない。関連機関と地域が危機感を共有して対応する必要がある」と訴えた。
同校は1995年4月26日、奄美群島初の高等教育機関として開校。当初は看護学科、社会福祉学科(現こども・かいご福祉学科)の3年課程2学科でスタートしたが98年には2年課程の薬草(藻)学科、調理師養成学科も加わり、2002年には総学生数292人とピークを迎えた。
現在は看護学科109人、こども・かいご福祉学科39人の計148人が在籍している。近年は両学科とも定員割れが続き、同校を運営する日章学園が今年度から、こども・かいご福祉学科の募集停止を決定した。
大島郡医師会の理事を務める向井校長は「大島郡医師会だより」の4月号への寄稿で同校の経営環境の悪化について「人口減と看護大学の増加―などが要因」と分析。「26年度に定員に満たないと看護学科の募集も停止される恐れがある」と警鐘を鳴らした。
同校は前年度までに2171人を輩出しており、うち約900人が奄美群島内で勤務し、人口流出に歯止めをかけている。さらに、高校卒業後にほとんどの若者が島を出る奄美大島では、アルバイトやボランティアに従事する学生は地域を支えてくれる貴重な若い労働力という側面も持つ。
同校の深成一朗事務長は「幼稚園教諭、保育士、介護福祉士を同時に取得できるのは全国でも当校のこども・かいご福祉学科だけ」と重要性を強調。寺師敬子副校長は「もし学校がなくなれば奄美全体にとって大きな損失。若者が帰ってこれる場所や雇用を存続するためにも、関係者だけでなく、地域全体で学校の存続を求めていく必要がある」と協力を呼び掛けた。