外来植物の調査方法学ぶ 住民参加型の体制構築へ 鹿大研究者らが講習会 奄美市住用町

2022年10月24日

地域

道路沿いの外来植物を確認する受講者=23日、奄美市住用町

地域住民を対象にした外来植物のモニタリング講習会が23日、奄美市住用町の奄美市住用総合支所などであった。環境省職員と鹿児島大学の研究者らが奄美大島で確認されている主な外来植物の特徴や調査方法を説明。受講者らは山中を散策しながら外来植物を観察し、スマートフォンなどで写真を撮影して位置を記録する調査を体験した。

 

講習会は環境省の委託を受けて鹿児島大学鹿児島環境学研究会が主催。昨年12月に続いて2回目。世界自然遺産の奄美大島で、固有種の存続を脅かす外来植物の計画的な駆除に向けて、個体数や分布状況を把握するため、住民参加型のモニタリング調査体制の構築を目指す。

 

今回の講座は地域住民ら約30人が受講。環境省奄美群島国立公園管理事務所の釣谷洋輔離島希少種保全専門官は、奄美大島で確認されている特定外来生物ツルヒヨドリなどの分布状況や駆除の取り組みを紹介。根絶に向けて駆除を継続することや、再び繁殖しないようにモニタリング調査を続けることが重要だと強調した。

 

鹿児島大学国際島嶼(★とうしょ)教育研究センターの鈴木英治特任教授は、奄美大島の主な外来植物20種の特徴や、似ている在来種との見分け方を解説。外来種や絶滅危惧種の分布について「未調査地が多い」として、地域住民に調査への協力を呼び掛けた。

 

鹿児島大学農学部の鵜川信准教授は、スマホやGPS機能付きカメラなどを使って外来植物の写真を撮影し、生育している位置を記録する方法や、環境省のデータベースなどに登録する手順を説明した。

 

受講者らは同支所から三太郎峠方面へ向かう市道を散策しながら、道路沿いに生えているオオバナノセンダングサやアメリカハマグルマ、ムラサキカッコウアザミなどを確認し、スマホなどで記録した。

 

受講した奄美市名瀬の池田由紀乃さん(54)は「奄美の素晴らしい環境が守られるように、外来種について教えてもらいながら、少しでも調査のお手伝いができれば」と話した。

 

受講者らは約2カ月間、各自で外来植物の調査に取り組む。鹿児島大は調査結果を集計して環境省へ報告するほか、来年2月ごろに奄美市で報告会を予定している。