徳之島でも貧困対策を Um代表、原田さん講演 徳之島町

2022年06月28日

地域

子どもの貧困問題へ積極的な支援の必要を訴える原田さん=25日、徳之島町亀津

貧困に苦しむ若者や子どもの支援を行う一般社団法人居場所づくり支援事業「Um(うむ)」=奄美市名瀬=代表の原田さおりさんを招いた講演会が25日、徳之島町社会福祉協議会で開かれた。原田さんは奄美市での貧困やネグレクト(育児放棄)の現状を紹介した上で、「徳之島でも起こり得ること。子どもたちを助けられる大人を増やしてほしい」と対策の必要性を訴えた。

 

原田さんは喜界町出身。5年間、奄美市名瀬の中学校でソーシャルワーカーを務める中で校区の子どもたちの貧困問題に直面し、食事提供や相談などの支援活動を始めた。昨年10月に一般社団法人「Um」を設立。名瀬港町に事務所を構え、子どもや若者の支援のほか、講演活動などに取り組んでいる。

 

原田さんの徳之島来島は初めて。講演会には島内の福祉、教育関係者など約20人が訪れた。原田さんは「私が知る範囲だけでも、ここ6年連続で子どもの自殺が続いており、殺人や傷害事件も起きた。私の見ている前で命を絶ってしまう子もいた」と悲惨な現実を伝え、「彼らが人生を諦めてしまう前に相談できる大人を一人でも多く増やしたい。徳之島の人たちとも力を合わせて取り組みたい」と力を込めた。

 

Umは現在、24時間体制でいつでも食事提供や保護ができるよう備えている。質疑応答では参加者から、運営資金の調達について質問があったほか「行政は個人情報保護を言い訳にして介入に消極的だ」「コロナ禍で家庭訪問の機会が減り、学校が家庭の状況を知りづらくなっている」などの問題提起もあった。

 

受講した徳之島町の40代女性は「あんな悲惨な状況がまさか隣の島で実際に起きているとは。想像を超えていた」と嘆きながらも、「古着の寄付など個人でもできる支援がないか考えてみたい」と感想を述べた。