石積みから城域絞り込む 14~15世紀ごろに最盛期か 三山時代の焼き物が多く出土 与論城跡発掘調査現地説明会

2022年08月24日

地域

与論城跡発掘現場の説明を受ける参加者=20日、与論町

【沖永良部総局】与論町教育委員会は20日、発掘調査を進めている町指定史跡「与論城跡(与論グスク)」で現地説明会を開いた。2022年度の調査成果として石積みの痕跡から城域を絞り込んだほか、城跡の中心部分から建物跡などを確認。出土品などから「城は14世紀後半~15世紀中ごろに城としての利用の最盛期を迎えたのではないか」とした。

 

町教委では2019年度から5年間の計画で同城跡の国指定を目指した調査事業を進めている。今年度は城域が不明確な台地部分の北側と崖下部分の西側、場内の構造確認のため、6カ所の発掘調査を実施。この日はうち4カ所を回って説明した。

 

城跡の中心部分と考えられる2カ所の発掘溝では、柱跡や石垣の一部と考えられる石積みの痕跡を確認。岩山を整地して平場を造成した状況が分かり、説明した町教委学芸員の南勇輔さんは「岩山をれき(小石)、土を入れながら整地するのは沖縄の城で見られる技法。恐らく沖縄から技術者を呼んだのでは」と推測。沖縄の三山時代といわれる14世紀後半以降の焼き物が多く出土しているため、「その頃に城としての利用の最盛期を迎えたのではないか」とした。

 

調査は今年度でいったん終了。23年度はこれまでの調査成果をまとめた報告書を作成する。

 

説明会には町民ら44人が参加した。与論町文化財保護審議会長の麓才良さん(74)は11年、草木が生い茂っていた与論城跡一帯の整備を機に、専門員が配置され、史跡としての価値が認められるようになった経緯を振り返り、「今後は観光と文化財を絡み合わせ、どういう取り組みをしていくか、地域ぐるみで考えていかなければならない」と話した。