空き家活用へ官民連携 与論町で調査報告会

2022年02月26日

地域

与論島の住宅不足などの解消に向け、今年度実施された空き家調査の最終報告会=24日、与論町役場

空き家のない与論島をつくるぞ!プロジェクト実行委員会(本園秀幸実行委員長)の空き家調査最終報告会が24日、与論町役場多目的ホールであった。事務局の町総務企画課によると、町内には空き家とみられる建物が87軒確認された。調査で判明した町内の空き家の実態を踏まえ、3月に発足予定の「住まいるプロジェクト実行委員会」を中心に、空き家の活用促進に向けて官民連携で取り組むことを確認した。

 

与論町では核家族化などに伴い年々住宅不足が深刻化しており、U・Iターン希望者や、ふるさと留学生、医療福祉関係の転勤族らの居住先が見つからず島への移住を断念する人も多い。一方、高齢化などで空き家は増加傾向にある。こうした住宅不足や空き家問題の解消を目的に、同委員会は県の事業(かごしま地域活性化協働推進事業)を活用し、ふるさと留学制度とも連携した空き家対策事業を今年度実施した。具体的には空き家の実態把握や所有者への意向調査など行った。

 

調査の結果、町内には空き家とみられる建物が87軒あり、うち86軒は所有者や相続権者ら空き家活用のための交渉先を特定できた。また意向調査では48件回答があり、うち12件は「貸してもよい(あるいは売りたい)」、7件は「検討中」との回答があったという。

 

このほか空き家の所有者らに対し、島の住宅不足の現状や空き家として貸し出す利点、空き家バンク、住宅整備支援補助金などの制度の周知も行った。

 

調査結果を報告した町総務企画課の日高彩那さんは「今ある空き家を流通しても、想定される町の住宅需要には追いつかず、遊休の建物や町内で少ない空き地の活用など、空き家活用以外の方策も模索しないといけない」と指摘した。

 

報告会にはオンラインも含め36人が参加。参加者からは「独自のネットワークで(交渉先の特定など)空き家の状況をしっかり追えるのが与論の強み。1軒ずつ粘り強く働き掛け、貸せるようにつなげていこう」「不動産会社や建設会社など民間事業者とも情報共有し、官民で進めるべき」といった意見があった。

 

与論町は今後、住まいるプロジェクト実行委を発足し、来年度は10戸の流通を目標に、空き家活用に取り組む。5年後をめどに、廃屋以外の全ての空き家の流通を目指す。